証券会社

対面証券会社の現状と今後について予測しました【対面証券会社が潰れない理由とは?】

こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。

今日は「野村證券ならびに証券会社」の話をしたいと思います。

昨今「野村證券の業務改善命令」や「店舗を減らす」というニュースなどが出ているので、よくこんなことを聞かれます。

ツナモンスター
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野村證券含め対面証券会社って今後どうなんだろう?

「どうなんだろう」という言葉の中には、

「潰れるのか」
「社員は辞める傾向なのか」
「新卒社員はちゃんと入ってくるのか」

など、色々な意味があると思います。

これから野村證券に入社したい人は「希望のまま野村證券に入社していいのか?」、野村證券社員の人は「このまま野村證券で働いて居ていいのか?」などを心配してしまうかと思います。

そこで、今日は

対面証券会社の今後

について考えていきたいと思います。

  • 証券会社の今後が気になる人
  • 証券会社の最近の動きが気になる人
  • 証券会社に就職したい人

はぜひ読んでくださいね。

結論:対面証券会社は潰れません

証券会社の今後について話していく前に、私が考える「証券会社の今後の結論」を先に話します。

結論は、

今後も対面証券会社は潰れない

ということです。

ツナモンスター
ツナモンスター
「野村證券は店舗を減らしているっていうし、新入社員の内定も減っているっていうけど、それでも対面証券会社は潰れないの?」

と思った人に、私がそう考える理由を、「現状の証券会社のビジネスモデル、昨今の証券業界を取り巻く動き」などを元に、説明していきます。

証券会社の現状確認

証券会社の従来のビジネスモデル

まず、証券会社のビジネスモデルを確認しましょう。

多くの証券会社のビジネスモデルの収益源は

売買手数料からなる手数料収入

となっています。

具体的には

  • 株式を売買する
  • 投資信託を売買する
  • 債券を売買する
  • 不動産仲介をする

など、手数料が発生する取引はたくさんあります。

そしてこの

手数料が発生する取引を毎月行うことで毎月の予算手数料を稼いでいく

のが、証券会社の従来の収益ビジネスモデルです。

証券会社の顧客

対面証券会社の顧客層は、ひとことで「お金持ち」と言える人が多いです。

というのも、日本以外の国では「『資産運用』をすることは当たり前」という認識があり、小学校などでも「投資」に関する知識を教える一方、日本では、「『資産運用』をするのはごく一部のお金に余裕がある人」という認識があり、万人に向けた金融リテラシーの教育がなされていません。

よって、証券会社のお客様層もそれを反映してか、「ごく一部のお金に余裕のある人」と言えるような資産層が多いのは現実です。

ちなみに、日本の富裕層は127万世帯、純金融資産総額は299兆円と推計されています。

こんな図を見たことがある人はいるかもしれませんが、

この図でいう「準富裕層よりも上の層にいる人たち」がお客様となっている場合が多いです。

証券会社の仕事

証券会社の仕事は

お客様の悩みを金融という手立てで解決してあげること

です。

よって、「金融という手立て」でしか証券会社は解決のための対応ができません。

定期預金の利率が低いのを何とか利回りをよくしたい
→株式や債券という解決案を紹介。

とにかくお金を増やしたい。
→株式や投資信託という解決案を紹介。

相続税がかかることを悩んでいる
→相続税を減らすか、相続税納税資金を前もって用意する手伝いを保険や株を紹介することで解決。
→提携している税理士を紹介する。

こんな悩みを解決してあげることが証券会社営業マンの仕事です。

証券会社を取り巻く昨今の動き

ビジネスモデルの転換/相場下落による収益の悪化

先ほど証券会社のビジネスモデルは「売買手数料の積み重ねで収益をあげること」と話しましたが、実は、昨今このビジネスモデルを脱し、

預かり資産の総額に対して報酬を受け取るビジネスモデルへの転換を行ったり、信用取引に係る貸株料などの金融収益による収益が収益の軸となっている

としている証券会社が出てきています。

売買手数料の積み重ねで収益を上げる収益体系は、「市況」に左右されやすいのが弱点です。

相場が下がればお客様の投資マインドも下がりますので、取引の頻度が減ります。

取引の頻度が減れば、手数料収入が減ります。

また、ネット証券の台頭により手数料に関してシビアなお客様も増えてきているため、手数料の値下げ競争起こったり、手数料の撤廃をする証券会社も出てきています。

預かり資産の総額に対して報酬を受け取るビジネスモデルへの転換をすれば、

  • 投資信託保有中に発生する信託報酬
  • 投資一任契約による毎月管理手数料

などは、市況の状況に関わらず毎月発生する手数料収入となります。

「フィー型のビジネス」と言いますが、このようにすることで

  • お客様に無理な頻度の取引を強いる必要がない
  • 営業マンも業務量が減る

などのメリットが生まれます。

会社としても、毎月安定して入ってくる収益があることは、これからの営業計画やビジネスを拡大することを考える余地を与えてくれるので好ましいです。

実際に、野村證券の収益構造を見てみると、

(野村ホールディングス2019年3月期決算短信より筆者作成)

いまだに12%ほどは委託手数料による収益であるものの、収益に一番大きな割合を占めているのは42%を占める「金融収益」です。

日本では、投資一任契約であるSMAやラップ型口座の手数料体系を預かり資産の総額に対して報酬を受け取るフィー型にしている証券会社はありますが、日々の売買を含めた資産管理に対してフィー型にしている証券会社はありません。

一方、金融先進国であるアメリカで近年急激に成長しているチャールズシュワブ社はアドバイザリー・フィーによる収益(Asset Management and Administration fees)が、委託手数料(Trading revenue)よりも多くなっています。

チャールズシュワブ社の2018年末収益構造を表した図


(チャールズシュワブ2018年アニュアルレポートより筆者作成)

このようなビジネスモデルの転換が、今の証券業界には起こっています。

IFAの台頭

また、このブログではよく紹介している証券マンとしての新しい働き方が台頭してきています。

IFAという働き方

です。

IFAについて説明しますと、

IFAは“Independent Financial Advisor”の略で、日本では「独立系ファイナンシャル・アドバイザー」などと呼ばれています。
銀行や証券会社をはじめとする特定の金融機関からは文字通り独立した存在で、中立的な立場から顧客にアドバイスする資産運用の専門家のこと。
IFAナビ IFAとはより

と定義されています。

もっと簡単にいうと、

特定の金融機関に属さないファイナンシャルアドバイザー

です。

特定の金融機関に属していると、どうしてもお客様に提案できる商品はその会社が扱っている商品のみになってしまいます。

それでは、他社の扱っている商品の方が本当は良いと思っていても、その商品を勧めることができません。

また、会社の勧めたい商品を勧めることもあり、担当者が100%商品選択権を持っているわけでもありません。

しかし、IFAは上記の通り、

特定の金融機関からは独立しているため、多数の会社の商品の中からお客様に最適な商品を提案

できます。

また、給与の面で、証券会社の社員よりIFAの方がメリットがあります。

IFAの給与体系は実績報酬型なので、頑張れば頑張った分もらえるお金が増えます。

「仕事の内容は変わらないのにIFAになればもらえるお金が増える」人はIFAになっていますし、証券会社の社員がIFAになっている流れは最近大きくなっていると言えます。

証券会社側から見れば、優秀な社員の流出が止まらない状況です。

ネット証券の猛勢

これは近年というわけではないですが、「ネット証券」で取引する人はここ10年ほどでかなり増えていると思います。

低金利が長く続いていることや、株主優待などが注目されているため、手軽に取引できるネット証券の勢いが上がってきています。

1位SBI証券
500万口座
2位楽天証券320万口座
3位マネックス証券183万口座
4位松井証券
120万口座

顧客の高齢化

毎日ニュースなどで言われている通り日本は「超高齢化社会」です。

人口の1/4が「65歳」という状況になっています。

その状況で証券会社としての脅威は「相続による資産流出」です。

親の時代に贔屓していたのは野村證券だけど、これからは自分で管理するからSBI証券に移すよ。」

という人が出てくることが予測されています。

これはどの対面証券会社でも同じ状況だと思います。

いかに「対面証券会社」としてメリットをお客様に持ってもらえるか考える必要が出てきています。

証券会社の今後の流れ

さて、このような

  • ビジネスモデルの転換期
  • IFAの台頭
  • ネット証券の猛省
  • 超高齢化社会

という時代の流れの中で、今後証券会社がどのように変わっていくと私が考えるか話していきます。

①対面証券会社はなくならない/潰れない

冒頭で聞かれたこの質問。

ツナモンスター
ツナモンスター
対面証券会社ってなくなるかな?

この質問に対する私の答えは、

対面証券会社は無くならない

です。

これが冒頭でも書いた対面証券会社の今後の結論です。

対面証券がなくなることはなく、顧客の層を絞ったり、業務を一部止めたりして、存続していくと思います。

昔、ネット保険が流行った時期がありますが、その時期を経ても、対面保険会社は全然衰えてないですよね。

それと同じだと思います。

なぜならそこには、

金融に関することを、知識のある人に、実際に話を聞いて、判断したい

という需要があるからです。

「自分で勉強して、自分で全部決められる人ばかりではない」のです。

だからこそ、

ネット証券の台頭は対面証券会社にとっては脅威ではあるが、
それを要因として対面証券会社がなくなることはない

と思います。

また、資産運用のことって考えるのが大変ですよね。

  • ポートフォリオの配分を考える
  • どの銘柄がいいか考える
  • 業績を調べる

などやることがたくさんあります。

それを全て自分で調べるとしたら相当な時間がかかります。

それを全部「プロ」に任せることが、できるなら簡単ですよね。

そのように考えて、そこに払うコストと自分で考える時間を比べて「プロ」に任せる人もいるのです。

特に、その傾向は「富裕層」に多い気がします。

こういう観点からも、「対面証券会社」の需要は無くならないと思います。

②対面証券会社は超富裕層に力を入れる

対面証券会社とネット証券会社の大きな違いは、

超富裕層を顧客として抱えているか

だと思います。

対面証券会社の強みはこの

超富裕層を「すでに」顧客として抱えていること

なのです。

だからこそ、対面証券会社はここの層に力を入れてくると思います。

個人的には、対面証券会社はある程度プライベートバンク化してもいいのかなと思っています。

投資に興味を持つ人は全体的に増えてきていますし、そうであるならば会社ごとに顧客層が違ってもいいと思います。

その方が分業のように仕事をしっかり分けることができますし、それぞれの会社にとっても仕事しやすくなるのではないかと思います。

逆に、対面証券会社で働きたいと思っている人にとってはビックチャンスかもしれません。

これからこの流れが大きくなっていくとすれば、対面証券会社の社員として対峙できるお客様のレベルは高くなるでしょう。

大企業の社長かもしれませんし、地元の名士の方かもしれません。

営業マンにとってはかなりレベルの高い環境が待っていることでしょう。

しかし、その環境に行くためには自分も高めなければなりません。

大企業の社長が知っているような当たり前な教養は身についているのが前提ですし、高度な金融知識も必要になるでしょう。

ぜひ、このレベルの環境に入るために努力してほしいと思います。

まとめ:対面証券会社は潰れない

ということで、今日は、「対面証券会社の現状と今後」について話してきました。

就活などで証券会社に努めようか悩んでいる人や現対面証券の社員の人たちなど対面証券の今後について心配に思っている人たちのためになればいいな〜と思って色々と書きました!

それでは今日はこれで^^