こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
今日は、「証券会社」の話をしていきたいと思います。
みなさん「株を買おう!」と思った時に、どこで買おうと思いますか?
という人が大半だと思いますが、実は、今知られている証券会社に口座を開かなくても、株式の取引ができる時代が来ているのです。
今日は、「証券業界と人々の関わり方、そしてそれを担う企業の変化について」説明し、これからの証券業界についてまとめていきたいと思います。
ということで今日は、
証券業界の変遷とそれに関わる人々と企業について
説明していきたいと思います。
- 証券会社の変遷を知りたい人
- その時代に主役となった人を知りたい人
- これからの時代の証券業界いついて知りたい人
はぜひ読んでくださいね。
Contents
人々と証券会社の関わり方の歴史について
まずは、証券会社の変遷について話していきます。
この歴史については、フィナテキストホールディングスが運営する「STREAM」のブログ「証券3.0とは何か?」にわかりやすく説明されているので、内容を抜粋し、私の考えも混ぜながら記述します。
人々と証券会社の関わり方については、ダニエル・ピンク著「モチベーション3.0」を模して、
- 証券1.0 一部の人のみが享受できる対面証券サービス・・・いわゆるお金持ちのみがアクセスできる限られた空間
- 証券2.0 究極までに効率化された証券サービス・・・アクセス性の高さと98年以降の手数料自由化を背景とした安価な委託手数料を強み
- 証券3.0 証券サービスが多様化された世界・・・これまで無視されてきた、小さな投資ニーズへ対応
と変化してきた、とまとめられています。
そしてこの「証券3.0」の時代こそが、証券会社に口座を開いて証券投資をするのではなく、「どこでも証券投資」ができるようになる時代です。
「証券1.0」の時代
証券1.0の主役は、
大手対面証券会社とお金持ちの人
です。
大手対面証券会社は具体例を挙げれば、「野村證券・大和証券・SMBC日興証券など」でしょう。
証券1.0の時代は「お金持ちのみが投資をできる」という考えの世界です。
なぜなら、大手対面証券会社からすれば、お金持ちのお客様と取引するのと、そうではないお客様と取引するのでは、
「取引の金額も、手数料の金額も、お金持ちのお客様の方が大きくなる可能性があり、同じ時間/労力をかけるのであれば、会社の利益/自分の成績が大きくなる方に注力するのは、ビジネスでは合理的な考え」
となり、お金持ちではないお客様は大手対面証券会社に相手にされなくなるため、お金持ちのみが投資をする状況になります。
また、日本の経済の状況もこの状況を加速させました。
それが「デフレ」という環境です。
「デフレ」環境では「モノよりもお金の方が価値がある」ため、投資をしなくても、金利は高いですし、お金の価値が減ることがありません。
日本は長年このような経済環境にいました。
「証券2.0」の時代
しかし、90年代後半から本格的なネット取引の時代が到来。
新たに登場したネット証券は、それまでの対面証券と比較して、アクセス性の高さと98年以降の手数料自由化を背景とした安価な委託手数料を強みに急拡大を遂げました。
これが、「証券2.0」時代です。
証券2.0の主役は
ネット証券会社と自分で考えて投資をすることができる人
です。
ネット証券の具体例は、「SBI証券・楽天証券・松井証券など」でしょう。
証券2.0の時代は「貯蓄から投資へ」という考えのもと、投資の情報にアクセスできる人が利益を得ることになりました。
日本の経済状況としても、低金利で預金に預けても利息がつかない時代となり、より金利のつく方法を求める世の中の流れも、この「貯蓄から投資へ」を後押しすることとなりました。
しかし、証券2.0になったことで、究極にまで追求された効率化によって、いつの間にかネット証券サービスはどこもかしこも同じようなサービスになり、どこの証券会社の口座にログインしても、デザインに違いはあれど、同じような画面構成になっています。
この情な状況で、改めて気付かされるのが「証券サービスには差別性がない」ということです。
そして、このようになったことで、
「有価証券の売買執行を提供する証券サービスは既に成熟期を迎えコモディティ化している」
と指摘されています。
証券1.0と2.0の対症療法がIFA
昨今、お客様に資産運用のアドバイスを提供する新しい立場として注目されているのが「IFA」という職業です。
「IFA=Independent Financial Advisor」ということで、証券会社から独立して、金融に関してアドバイスを行うファイナンシャルアドバイザーのことをいいます。
「IFA」という言葉は2015年前後を境に、よく聞くようになりました。
多くは、大手対面証券会社を退職した人が転職先として選んでいるケースが多いと思います。
そして、
このIFAという職業は、証券1.0と2.0の問題点を対症療法的に解決するために生まれた
と私は考えています。
証券1.0の問題点は、
会社としての利益が重視され、アドバイスに偏りが出ること
です。
NGOやNPOなどの非営利団体でない限り、存在する会社は利益を上げていかなければ会社を存続することができません。
そのために利益を上げてくるのが、「各企業の営業マン=お客様にアドバイスを提供する人たち」です。
そのため、アドバイスには会社の方針が反映されたり、利益の上がらない可能性のあるお客様への対応が疎かになったりする、というデメリットが生まれています。
その反面、IFAは、ある企業からは独立した立場であり、商品も対応も自由に選ぶことができます。
しかし、このサービスを享受できるお客様は、やはり個々のIFAの判断となり、また、IFAが対応できる数も限られているため、資産運用の情報が欲しい全ての人を対応するには至っていません。
次に、証券2.0の問題点は、
資産運用の情報を自ら得に行かない限り、情報は提供されない
ということです。
ネット証券では、そこにアクセスした全ての人に、「証券サービスを使える場は提供する」ものの、「どうやって商品を選んだらいいのか、自分に合っている商品はどれなのか?」という、資産運用のアドバイスはもらえません。
その反面、IFAを使えば、資産運用のアドバイスをもらいながら、手数料の安い、効率性のあるサービスを享受することができるようになります。(IFAは、SBI証券や楽天証券などのシステムを使って取引をします。)
また、ネット証券会社としても、取引を頻繁にするお客様は獲得できているものの、一方でIFAが抱えるような資産家のお客様の資産を取り込みたいという意向もあり、証券1.0の営業マンと2.0の供給者にとってはIFAは旨味のある制度となっているといえます。
とはいえ、サービスを受ける側としてはやはり個々のIFAの判断により、またIFAが対応できる数も限られているため、資産運用の情報が欲しい全ての人を対応するには至っていません。
これからは「証券3.0」の時代
このような証券業界の環境や証券サービスの類似性について疑問視し、その問題を解決しようとしているのがこれからの人々と証券会社の関わり方の「証券3.0」です。
証券3.0の主役は、
証券取引プラットフォームを提供する会社とすべての投資家
です。
証券取引プラットフォームを提供する会社の具体例は、「フィナテキスト ホールディングス・ウェルスナビ・お金のデザインなど」です。
証券3.0では、これまで無視されてきた小さな投資ニーズへ対応した証券サービスが生まれ、全ての投資家が証券サービスを享受できるようになります。
なぜなら、売買執行機能ミドル・バックシステムをパッケージ化しプラットフォームサービスとして提供するような企業が出てくれば証券事業への初期投資額並びに運用コストは大幅に下がるため、証券会社ではない企業でも証券サービスを提供できるようになるからです。
また、ロボアドバイザーのサービスを提供する企業に運用を一任すれば、自分が勉強することなく金融理論に則った運用を享受することができます。
これは、証券事業の収支構造に抜本的な変革を起こすこととなるでしょう。
そして、この証券3.0が本格的に動き出したのが2019年だと思っています。
また、別の動きとしては、
「資産運用知識やお金の知識を提供するブログやYoutube」の台頭
も挙げられます。
「無料でわかりやすく解説されている」お金の勉強方法がこれほどまでに提供されるようになったのはここ数年の話だと思います。
「お金のことはわからない」「投資はお金持ちがすれば良い」
という考え方は2020年以降急速に淘汰され、
「お金の勉強をするのは当たり前」「税金や投資について知らないのは恥ずかしい」
という考え方が主流になっていくと思います。
まとめ:証券1.0→2.0→IFA→3.0・・・そしてこれから
以上のように、証券業界は「供給者である企業とその関わる人たち」を変えてきたわけです。
今後は、証券1.0と2.0の対症療法である「IFA」や、証券3.0が2019年以降の主流となり、「投資・資産運用」を取り巻く私たちの環境はより一層変化することになると思います。
証券3.0は、勢いに乗り始めたばかりです。
この流れを理解した上で、どこで取引するのか考えてみるのも面白いかもしれません。
最後に、「STREAM」のブログ「証券3.0とは何か?」には、
証券3.0が実現された日本は、世界でも類を見ない自由な投資環境が実現されるでしょう。
とまとめられています。
ぜひわたしもそのような世界が実現されることを期待しています。
それでは今日はこれで。