投資の基礎知識

日本の時価総額ランキングを平成元年と令和元年で比較する

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こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。

今日は「資産運用の基礎知識」の話です。

みなさんが生まれてから今を過ごすまで、みなさんの周りのものや環境は、想像以上に進歩してきたのではないでしょうか。

今ではガラケーと言われる携帯電話もその当時は以前から比べればコンパクトになったと言われましたが、現在では、スマホの登場により手のひらサイズで電話もできれば写真も撮れれば検索することもできる時代となりました。

新しい技術を発明してくれる企業によって、私たちの生活はとーっても便利になっているのです。

そして、株式の時価総額ランキングはその時々の景気を反映したものとなります。

銀行業界に力があれば銀行の時価総額が上がりますし、テクノロジー業界に力があればテクノロジー会社の時価総額が上がります。

株式は景気に敏感なためランキングを見ればその時にどんな業界に勢いがあるのかわかります。

ということで、今日は

日本の時価総額ランキングを平成元年と令和元年で比較

していきたいと思います。

  • 日本の時価総額ランキングを知りたい人
  • 日本の時価総額ランキングがどのように変化していったか知りたい人
  • 日本の時価総額ランキングの変化からわかること

はぜひ読んでくださいね。

平成元年の時価総額ランキング

平成元年の時価総額ランキングは以下の通りです。

順位企業名時価総額
1NTT20兆4,975億円
2日本興業銀行8兆9,500億円
3住友銀行8兆7,000億円
4富士銀行8兆4,000億円
5第一勧業銀行8兆2,625億円
6三菱銀行7兆4,125億円
7東京電力6兆8,125億円
8トヨタ自動車6兆7,750億円
9三和銀行6兆1,625億円
10野村證券5兆5,625億円

トップ10のうち7社が「金融業界」の会社です。

6社が「銀行」、1社が「証券」です。

バブル時代の日本の繁栄を象徴していますね。

平成元年はまだバブル崩壊前です。

この後、バブル崩壊が起こり企業の合併などが盛んに行われてたために、現在の名称とは異なる銀行がほとんどになりました。

  • 日本興業銀行/富士銀行/第一勧業銀行→みずほ銀行
  • 住友銀行→三井住友銀行
  • 三菱銀行/三和銀行→三菱UFJ銀行

というように変わっています。

さて、平成初期の時価総額ランキングについては、以下のように分析されています。

平成初期に世界の株式時価総額ランキングで日本企業が独占していたことに比べて現在の日本の時価総額が低いことを嘆く人が多いようです。
ただ、平成初期に日本の時価総額が高かったのは競争力があったからではなく、単に株式持ち合いや財テクで日本企業が本業と関係ない資産を持っていたため、資本市場がゆがんだ結果、一時的に資産価格が高騰したにすぎません。
・・・・
また、日本のバブルは市場が日本企業を高く評価したというよりは、株式持ち合いで株主を排除した結果として市場の需給がゆがんで起こったという側面が強いです。
当時の日本は株式持ち合いで市場に出回る株が少なくなっており、株式需給が逼迫して株価が上がりやすい状況でした。

さらに日本企業は本業と関係ない財テクを行っていたので、自社の株価が上がる→財務が改善して資金調達がしやすくなる→市場から調達した資金で財テクを行って資産価格が上がるというループを繰り返して株価が割高になっていたにすぎず、日本の競争力があったから日本の時価総額が高かったわけではありません。

もし日本の競争力を反映して株価が高かったのであれば製造業の時価総額が高いはずですが、当時の時価総額トップ10はほとんど銀行で、日本の銀行が製造業より競争力があったはずがありません。

平成初期に高かった日本の時価総額が低迷しているワケ — 水口 進一

というわけで、「物言う株主」の存在がなかったり、「企業による相互持ち株」などもあったりした時代に日本の株式は正当な競争力を反映した株価ではありませんでした。

令和元年の時価総額ランキング

それでは、状況が変わった令和元年の株価をみてみましょう。

令和元年の時価総額ランキングは以下の通りです。

順位企業名時価総額
1トヨタ自動車22兆6,093億円
2ソフトバンクグループ11兆5,963億円
3NTT9兆6,212億円
4NTTドコモ8兆6,682億円
5キーエンス7兆6,124億円
6ソニー7兆6,538億円
7三菱UFJフィナンシャルグループ7兆1,132億円
8ソフトバンク7兆155億円
9ファーストリテイリング6兆9,106億円
10KDDI6兆5,856億円

トヨタ自動車が「6兆7,750億円から→22兆6,093億円」に時価総額を増やし、ランキング1位になった一方、NTTは「20兆4,975億円→9兆6,212億円」に時価総額が減り、順位が後退しました。

平成元年の時代とは異なり、コーポレートガバナンスや株主還元、敵対的TOBなどが話題になるようになった現代は
「企業力や競争力」で株価が正当に評価されるようになりました。

よって、世界の自動車販売台数1位になったこともあるトヨタや、今や世界の投資会社となったソフトバンクグループが、ランキング上位に来るようになりました。

キーエンスやソニーもその技術でもって世界からの需要があります。

平成の30年で時価総額を伸ばした企業ランキング

下の表は、平成が始まった1989年1月9日から2019年4月17日の間の時価総額増加率ランキングです。

1位となったのは、精密小型モーターの開発・製造を手掛け、世界シェア1位の製品を多数持つ「日本電産」です。

創業者である永守重信氏が一貫して経営の中心を担い、平成の間に時価総額をなんと65倍に引き上げています。

この状況について松井証券のシニアマーケットアナリスト窪田朋一郎さんは以下のように分析しています。

独自の技術力で開発した部品や日本国内で培った商品が、グローバル市場で高く評価された企業が、平成の間に大きく時価総額を膨らませた事がわかります。

このことは、平成元年以降に上場し時価総額を大きく膨らませた、ユニクロなどを運営する製造小売り大手のファーストリテイリングや、グローバルにハイテク企業に投資するソフトバンクグループなどでも、共通しています。

平成の30年間で時価総額が拡大した企業ランキング:MONEY PLUSより

まとめ:令和の次の時代の時価総額ランキングを予想したら面白そう

ということで今日は「日本の時価総額ランキングを平成・令和元年で比較」しました。

30年という長期間ではありますが、企業のラインナップがガラッと変わってしまうくらい世の中は変化したことがわかりましたね。

これからの令和の時代、キーワードは「情報技術/データ」だと思っています。

ビックデータをより集められるものがその情報量を生かして、サービスを拡大していく。

お金のある企業が技術のある企業を買収して多角化していく。

令和が終わることには時価総額ランキングがどうなっているのか楽しみですね。

それでは今日はこれで^^