こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
今日は「証券会社」の話をしていきたいと思います。
先日こんなツイートをしました。
流れはフィービジネス😌
手数料ビジネスからフィービジネスへの切り替えは収益も最初は減るだろうけど切り替えないと今後選ばれる会社にはならなそう😌 https://t.co/UioSMe671T
— Natsumi💹ファイナンシャルアドバイザー×ブログ (@723to___) October 2, 2019
アメリカの証券会社「チャールズシュワブ」が「米国株売買の手数料を無料にする」というニュースが発表されました。
金融商品の手数料無料の流れは世界ですでに潮流となっていると思いますが、まだまだそれでも証券会社は「手数料収入によるビジネスモデル」が主流となっています。
今日は、このニュースを受けて
- 証券会社のビジネスモデルと今後
- 日本の証券会社の手数料について
を述べていきたいと思っています。
- 証券会社のビジネスモデルについて知りたい人
- 手数料はできる限り抑えて資産運用したい人
- 証券業界に興味がある人
はぜひ読んでくださいね。
Contents
チャールズシュワブの手数料撤廃のニュース
まずは、チャールズシュワブの手数料撤廃のニュースについてもう少し詳しく見ていきましょう。
業界リーダーのチャールズ・シュワブが米国株と上場投資信託(ETF)、オプションの手数料を撤廃する計画を発表し、価格競争がエスカレートするとの見方が広がった。
Photographer: Christopher Lee/Bloomberg 米ネット証券各社の株価急落、シュワブ手数料撤廃で競争激化へより
・・・
投資家の低コスト志向が強まる中、証券業界では手数料の引き下げ競争が激しさを増している。インタラクティブ・ブローカーズも先週、手数料ゼロの取引を提供すると発表。昨年半ば以降、フィデリティ・インベストメンツやバンガード・グループ、JPモルガン・チェースなどが幅広い金融商品について手数料を撤廃している。
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チャールズ・シュワブの1日の発表資料によれば、パソコンのウェブサイトとモバイル端末を通じた取引の手数料は、従来の1件当たり4.95ドルから7日をもってゼロとなる。
ということで、
チャールズシュワブの手数料無料の記事では、全ての商品の手数料がなくなるわけではなく「米国株と上場投資信託(ETF)、オプションの手数料を撤廃する」としています。
「1件当たり4.95ドル(約530円)から無料」になるわけですから、利用者としてはサービスが拡充されたと言って良いでしょう。
とはいえ、まだまだ「手数料収入」が主な収入源となっている証券会社としては痛手ではありますので、10月1日のアメリカ市場では金融株は軒並み下落しています。
最も大きく下げたのはTDアメリトレード・ホールディング。26%急落し、1999年以来の大幅下落となった。Eトレード・ファイナンシャルは16%安と過去10年余りで最大の下げ。インタラクティブ・ブローカーズ・グループとチャールズ・シュワブはいずれも下げ率が9%を超えた。
Photographer: Christopher Lee/Bloomberg 米ネット証券各社の株価急落、シュワブ手数料撤廃で競争激化へより
アナリストは以下のようにも発言しています。
エドワード・ジョーンズのアナリスト、カイル・サンダース氏は、 チャールズ・シュワブと競合する各社が「追随を余儀なくされるだろう」と指摘。 「これはコモディティー化されたビジネスだ。1社が発表すると、他社も追随するか、より積極的な戦略を取る」と述べた。
Photographer: Christopher Lee/Bloomberg 米ネット証券各社の株価急落、シュワブ手数料撤廃で競争激化へより
後日ニュースにもなっている通り、チャールズシュワブの決定に追随して大手のTDアメリトレード・ホールディングやEトレード・フィナンシャルが2日までに「個別株やオプションの取引を無料にする」と発表しています。
日本の日本株式売買手数料の比較
それでは、日本の日本株式の売買手数料はどのようになっているでしょうか。
対面証券とネット証券では話が違いますが、今回はネット証券のみ検証していきます。
SBI証券
インターネット・モバイル端末経由の国内株式委託手数料体系は、2つの手数料プラン(アクティブ・スタンダード)の「選択制」となっております。
国内株式委託手数料:SBI証券より
アクティブプラン

スタンダートプラン

アクティブ・スタンダードプランのどちらを選ばれるかにもよりますが、
アクティブプランを選んだ場合、2019年12月9日の発表により1日50万円以内の取引が無料になりました!
50万円以上の株式を取引する場合は場合によっては割高になりますが、とはいえ、売買手数料が無料となる金額が拡大したのはかなり利用者としてはメリットが増えたのではないかと思います。
楽天証券
楽天証券も2つのコースが用意されています。
超割コース

いちにち定額コース

SBI証券と料金体系はほとんど同じですね。
楽天証券の方が「楽天経済圏」で生活している人にとっては取引内容に応じて「楽天ポイント」が受け取れる取引もあったりするので、そのような理由で楽天証券を選んでいるのかもしれません。
日本のネット証券の手数料
他もいくつかの会社を調べましたが、コースによって「50万円以下は無料」としているSBI証券や「10万円以下は無料」としている楽天証券や松井証券はありましたが、「日本株式の売買手数料」について「金額に関係なく0円」としているところはありませんでした。
証券会社のビジネスモデルはフィー型ビジネスへ
各証券会社の手数料収入の実情
ということで、ここからは「日本の証券会社の株式委託手数料と営業収益に占める割合」について調べていきたいと思います。
結果は以下の通りです。
比較のために対面証券で「野村證券と大和証券」を入れておきました。
委託手数料(億円) | 営業収益(億円) | 委託手数料/営業収益 | |
野村證券 | 1,920 | 11,168 | 17% |
大和証券 | 583 | 4,412 | 13% |
SBI証券 | 306 | 1,225 | 25% |
楽天証券 | 117 | 451 | 26% |
(野村證券、大和証券、SBI證券は2019年度決算短信より、楽天証券は2018年(4-12月)決算短信より/小数点四捨五入)

ネット証券会社は「株式の売買で利用している人が多い」ので、営業収益に占める委託手数料の割合が対面証券会社より高くなりますね。
対面証券会社の方が「募集・売出」の引き受けなども件数が多くなりますので、「委託手数料」の割合は低くなっています。
いずれにしても、ネット証券では「25%前後」のシェアを占めている「委託手数料」がアメリカの流れと同じようになるとしたら「0%」にならないまでも減ることとなりますから、
ネット証券会社にとって、「売買手数料の撤廃の流れ」が「痛い」のは間違い無いでしょう。
手数料収益主軸のビジネスからフィー型手数料のビジネスへ
アメリカの金融市場の流れは日本にも入ってくる可能性があるため、2019年10月のチャールズシュワブ社の株式売買手数料撤廃の流れにより追随して「株式売買手数料撤廃」にする日本の証券会社は出てきていますし、これからも増えてくると予測できます。
また、この流れでなくても、すでに日本の証券会社では
ビジネスモデル自体が「売買手数料の積み重ねで収益をあげることとなっている」ことは改善されなければ課題
とされています。
なぜなら、「売買手数料」は「売買しなければ発生しない収益」だからです。
昨今、米中貿易戦争の動向や世界全体の景気減速懸念により、日本の株式市場はあまり冴えていないです。
そうなれば売買する人自体が減りますからもちろん証券会社が得る売買手数料も減ります。
このように「市況にされやすい収益を収益の主軸にしていていいのか」という課題があるのです。
そこで、対面証券会社を中心に、預かり資産の総額に対して報酬を受け取るビジネスモデルへの転換が進んでいます。
- 投資信託保有中に発生する信託報酬
- 投資一任契約による毎月管理手数料
などは、市況の状況に関わらず毎月発生する手数料収入です。
フィー型のビジネスモデル
と言いますが、「毎月の売買で発生させる手数料収益ではなく、管理料などのフィーとして毎月必ず発生する手数料収益を主軸にしよう」というビジネスモデルに替える証券会社が出てきています。
このようにすることで
- お客様に無理な頻度の取引を強いる必要がない
- 営業マンも業務量が減る
などのメリットが生まれます。
会社としても、毎月安定して入ってくる収益があることはこれからの営業計画やビジネスを拡大することを考える余地を与えてくれるので好ましいのです。
お客様にとっても「最適な資産運用の提案」を受けるために証券会社のビジネスモデルは今こそ早急に替えられるべきだと思います。
まとめ:証券会社は辛くてもフィー型ビジネスに切り替えるべき
ということで、今日は「アメリカでの売買手数料撤廃の流れと、日本の証券会社のビジネスモデルと今後」について述べてきました。
ずっと手数料収益で稼いできた会社は「フィー型ビジネス」に移ると最初は収益が下がったりして辛いかもしれませんが、それでも移行しなければ今後は利用者に選ばれない会社になるのかもしれないな、とこのニュースを読んでいて思いました。
今後も、「売買手数料撤廃のニュース」には注目していきたいです。
それでは今日はこれで^^