こんにちは。
年間100冊以上の本を読むフリーファイナンシャルアドバイザーのNatsumiです。
今日は「読書要約」です。
「言ってはいけない」や「マネーロンダリング」を書いたことで有名な橘玲さんの新しく出版する「上級国民/下級国民」という本を先日読みました。
「上級国民」という言葉は2019年4月に東京・池袋で起こった
80才後半の男性が30代の母親と5才の子供を巻き込む自動車死亡事故を起こした時に話題になった言葉です。
私たちには生きているだけで超えられない「階級」があり、「上級」の人は何をしても守られるのだと、
ネット上で話題になった言葉です。
この言葉を使ったこの本は、「上級国民/下級国民」というタイトルで、
幸福な人生を手に入れるのは「上級国民」のみ。
「下級国民」を待ち受けるのは共同体からも性愛からも排除されるという残酷な運命を指摘し、
日本だけでなく、世界レベルで進行する「上級国民/下級国民」を分断している正体をあぶり出しているのがこの本です。
というわけで今日は
上級国民/下級国民の要約
を紹介します。
Contents
「下級国民」はどのように生み出されたのか
まず、PART1では、バブル崩壊後の平成の労働市場がどのように「下級国民」を生み出したのかを説明しています。
平成で起こったこと
みなさんは、
平成の30年間で日本に起こったことはどんなことですか?
と質問されたら、なんと答えますか?
答えは様々あると思いますが、
この本では、
日本がどんどんと貧乏くさくなった
と説明しています。
皆さんもご存知の通り、この30年で世の中の仕組みやサービス、私たちの身の回りのものがガラッと変わりました。
その流れの中で世界の仕組みを変えた企業は儲かり、シェアを拡大しました。
人口の増えた国はGDPも増やしたことでしょう。
しかし、日本はどうでしょうか?
国のゆたかさの指標である「一人あたりのGDP」は2000年に世界2位になった以降、順位はどんどん下り、
2018年には世界26位となりました。
世界のGDPの15%のシェアを占めていた時代から、6%とシェアを縮小させました。
また、日本人の会社に対するエンゲージメントは諸各国に比べ極端に低いと言われています。
そして、日本の労働生産性はアメリカの2/3ほどと言われています。
この労働生産性については、OECD中21/36位。
先進国7ヵ国中では最下位。
アジアでは香港に抜かれ、韓国にも抜かれそう担っています。
つまり、日本が貧乏になった理由は、
他国に比べて生産性が低いから
ということができるでしょう。
しかし、それは日本人の能力が低いから、というわけではありません。
他国に比べて生産性が低い理由は
日本人の働き方、日本の社会の仕組みそのものが間違っている
からなのです。
平成の労働市場では若者の雇用を破壊することで中高年(団塊の世代)の雇用が守られました。
- 非正規雇用の増加
- 就職氷河期
- 生産性の格差
によって、若者には不利な労働市場が生まれることとなりました。
中高年が若者の雇用を奪う仕組みがそのまま残ったのが平成なのです。
働き方を見直す気もなく、「手厚く与えられている既得権益にしがみついた」のが団塊の世代なのです。
令和で起こること
では、令和になったらどのようなことが起きるでしょうか。
平成が「団塊の世代の雇用を守るため」の30年だっだとすると、
令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための20年となる
と筆者は断言しています。
社会福祉については国がその制度や方針を決めています。
自民党の最大の票田は「団塊の世代」です。
政治家は票のためならなんでもやるとも言いますね。
つまり、一番票が得られる「団塊の世代」が反対するような政策、
例えば、「年金は減らします」とか「教育費を無償化します」とか「待機児童ゼロに財源を増やします」なんて政策を掲げたところで、
票が逃げていくだけなので、そんな政策は促進してくれないのです。
逆に、若手官僚の声として、増えていく年金や保険料に対処するためには「対症療法を繰り返すのみ」と載せているのです。
対症療法とは、
- 保険料を上げること
- 消費税を上げること
です。
若者の雇用を奪った団塊の世代が、今度は若者のお金までも奪う未来になるのです。
税金を払う側の私たちにとっては、大きな声を上げて反対したいような未来が待っているわけです。
上級国民がモテて、下級国民はモテない時代に
PART2では、「上級国民/下級国民」が「モテ/非モテ」にもつながっていくことを論じています。
日本の社会は「学歴」によって分断されているそうです。
もう少し具体的に言えば、
大学卒/非大学卒によって社会が分断されている
のです。
また、そのことが「幸福度」にも少なからず影響していることがわかっています。
しかし、幸福度を決める要素は「学歴」だけではありません。
ある調査では、「学歴と年齢、性別」によって幸福度がどのように違うのかを調べました。
もっとも幸福度が低いのは、「高卒・高校中退の非大卒の壮年男性」であり、
次に低いのは「非大卒の壮年女性」ですが、
「非大卒の男性の若者」も幸福度が極めて低いということがわかりました。
また、幸福度が高いはずの「大卒グループの中で、若い男性」の幸福度が最も低いこともわかりました。
この正体が、
モテ/非モテ
だと説明できるのです。
そもそも女性は男性よりも幸福度が高いそうです。
それは、男性は社会的・経済的な成功とモテることに関係がありますが、
女性の場合は関係がないからです。
戦後の日本社会は「結婚することが当たり前」と言えるほどの時代だったと思いますが、現代は違います。
全てが「選択できる」世の中になったことで起こったことが、「事実上の一夫多妻」です。
日本では、一夫多妻は認められていませんので、
どのようなことを一夫多妻というのかというと、
一部の男の人が複数の女性と結婚をしている
ということです。
「結婚と離婚を繰り返す男性がいる」ということです。
離婚には金銭的・精神的に大きなコストがかかります。
弁護士などを雇って穏便にトラブルを解決できるのは、社会的・経済的に地位のある男性です。
よって、「持てる者」であることによって「モテる」ことができるのです。
これが、「モテ/非モテ」の正体です。
「上級国民/下級国民」であることが「モテ/非モテ」に繋がる時代となっているのです。
世界でも分断は進んでいる
PART3では、日本だけでなく世界でも「上級国民/下級国民」の分断が進んでいる背景について述べられています。
「農業革命」と「産業革命」によって人口が爆発し、ゆたかさが爆発する時代がきました。
産業革命はイコール「科学技術の革命と知識革命」ということができます。
私たちはこのことにより「自分の人生を自分で自由に選択」できるようになりました。
今では「そんなの当たり前じゃないか!」と言われるかもしれませんが、
一世代前は、親が決めた人と結婚する、家の家業を継ぐ、などは当たり前なこととされていた時代でした。
しかし、今や私たちは生まれたところや、親が何をしているかに関係なく、自分で自分の人生の選択をすることができます。
これは
自由な(リベラル化の)社会の到来
ということができるでしょう。
さて、私たちが生きている時代は「知識社会」ということもできます。
テクノロジーのレベルはすでに平均的な人間の適応力を越えようとしています。
このことによって、
最先端のテクノロジーを開発する少数の知識層に膨大な富が集中する一方で、
基礎的な技術を理解することはもちろん使いこなすことすら困難な人たちが膨大に出てくることになりました。
そうなると以下のようなことが起こったのです。
グローバル化によって、数億人が貧困から脱出したことで、世界全体における不平等は急速に減少
しかし、
世界が「全体として」豊かになった代償として
先進国の中間層が崩壊した
ということです。
この分断が「上級国民/下級国民」の元になっているのです。
アメリカでのトランプ大統領の台頭やブレクジットが生まれた背景はおおよそこの仕組みで説明ができるでしょう。
世界はリベラル化することによって、分断されていっているのです。
今後の未来を生き延びるためのトレンド
筆者は最後に、分断される未来を生き延びるための今度のトレンドを紹介しています。
それが、
- 高度化する知識社会に最適化した人的資本を形成する戦略
- FBやツイッター・インスタグラムなどで多くのフォロワーを集め、その「評判資本」をマネタイズしていく戦略
の2つの戦略です。
- 高度化する知識社会に最適化した人的資本を形成する戦略
とは、
10代で才能を見出され、シリコンバレーのIT企業などに高給で採用され、30代前半までには一生生きていけるだけの富を獲得するために。
とにかく早いうちから高度なプログラミング技術を習い、「ナノディグリー」という学位を発行するオンライン大学に通う
などをする戦略です。
- FBやツイッター・インスタグラムなどで多くのフォロワーを集め、その「評判資本」をマネタイズしていく戦略
とは、
SNSのインフルエンサーやユーチューバーなどがその典型です。
テクノロジーを提供するプラットフォームを利用して、お金を稼ぐということです。
まとめ:例外でいかにマネタイズするか
というわけで、
今日は「上級国民/下級国民」の内容をまとめてきました。
学歴に負けないような高度な知識を早いうちに手に入れ認めてもらうことや
SNSで注目してもらってそれをマネタイズすることが
これからの「知識経済/評価経済」で流れに乗っていくための方法というのは勉強になりましたね。
もっと、ツイッターを頑張らなくちゃだと思いました。
それでは今日はこれで^^
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