こんにちは。
年間100冊以上の本を読むフリーのファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
今日は「読書レビュー」です。
「滝本哲史」さんという方をご存知ですか?
投資家で京都大客員准教授をしている方で、多くの本を出版しているので知っているかもしれません。
先日亡くなられたということでわたしも存じ上げておりましたが、
その方の本で今日は1冊ご紹介したいと思います。
「僕は君たちに武器を配りたい」という本です。
2011年に出版されていますので少し古い本ですが、
冷え切った日本経済を行く抜くための知恵
が書いてあり、今でも通じる内容でしたので共有します。
ということで今日は、
「僕は君たちに武器を配りたい」の読書要約
をしていきます。
Contents
この本の構成
京都大学を卒業しても就職に悩む学生が出てきている
それくらい日本の経済は冷え切っているという現状の確認
また、その状況で生き残るための「条件」を知る
↓
そうなった要因である「日本経済や資本主義」について
↓
そのようななかで生き残るためのタイプ4つと生き残れないタイプ2つについて
↓
それぞれのタイプの説明
↓
これから生き延びるために勉強すべきこと/探すべきこと
という流れで構成されています。
日本の経済は冷え切っているという現状の確認
第1章では、「勉強ができてもコモディティ」という章で、
日本の経済が冷え切っているという現状の確認がされていきます。
筆者である瀧本氏は京都大学で「起業論」という授業を担当していたそうです。
「起業」というその内容から授業を受けに来る生徒は経営学や経済学の生徒が多いと思いきや、
「医学部の学生」が最も多く授業を受けにきたそうです。
京都大学の医学生ともなれば受験業界でも東大の医学部と双璧をなす存在ですし、
そもそも「医師」という職業も、高い報酬と社会的地位が得られる仕事の代表格です。
そうなれる可能性が高い学生たちがなぜ「起業」の授業を受けに来るのか。
皆さんはその理由が想像できますか?
学生にヒアリングをしてみると、彼ら彼女たちが、「自分の将来に明確な不安を抱いている」ということが判明したそうです。
「この国では、医者になっても、幸せにはなれない。」
そう感じていたのです。
医者に代表される高学歴の人々が食に迷う状況が日本にはあります。
それは日本だけではなく、今では世界中にその潮流が押し寄せています。
インターネットの普及により、
- 知識獲得コスト
- 教育コスト
が激減し、
「知識を持っていること」がコモディティ化
しました。
「知識」は誰でも持っている普遍的なものに変わってしまったということです。
では、どうなることで私たちはこの流れから生き延びることができるでしょうか。
それは、
「コモディティ」にならないこと=スペシャリティになること
です。
スペシャリティとは、専門性、特殊性、特色などを意味する英単語ですが、
要するに、
他の人には変えられない、唯一の人物とその仕事
他のものでは代用できない、唯一のもの
ということです。
そして、スペシャリティになるために必要なのは、
これまでの枠組みの中で努力するのではなく、まず最初に資本主義の仕組みをよく理解して、どの要素がコモディティとスペシャリティを分けるのか
それを熟知することです。
日本経済や資本主義について
第2.3章では、日本経済と社会主義について述べられています。
- リーマンショックにより世界的には不況が続いていること
- 日本は人口が減り続けていること
- 資本主義がこれからも続いていくこと
が最初に述べられています。
そして、「資本主義」について理解すべきことは、
一部の頭のいい人ではなく、「より安くより良い商品」を作る人間が、社会を進歩させる仕組みが資本主義
であるということです。
日本のビジネスモデルは「すり合わせ製造業」と言われるものです。
「組み合わせ」とは異なり、
それぞれの部品やユニットを最終的に最も性能や機能を発揮できるようにカスタマイズして設計し組み立てます。
しかし、今後は、自動車の主流がガソリン車から電気車に変わったりすることで、
ギアをはじめ駆動を制御する装置を非常に簡略化でき、
大幅に部品の数を減らすことができます。
つまり、「すり合わせる」より「組み合わせる」製造業が合っていくということです。
現状もすでにそうなっていますが、これを得意としているのが「中国」で
世界の製造業の地位はすでに「中国」に移っています。
H22に経済産業省が作成した「日本の産業を巡る現状と課題」というレポートでは、
H22の時点で日本の内需の拡大はもはや限界を迎えており、
日本がこのままの経済戦略を取り続ける限り、先行きは暗いということを指摘しています。
これを踏まえて、
働く個人が常に経済的・社会的に高いポジションを維持するためには、
次に、どのビジネスモデルが成功するか潮流を見極めながら転職を繰り返す
ことが大切だと、この本では述べられています。
生き残るためのタイプ4つと生き残れないタイプ2つ
第4章では、「資本主義の社会の中で安い値段でこき使われず、主体的に稼ぐ人になるためのタイプ」について説明しています。
そのタイプは
- 商品を遠くに運んでうることができる人・・・トレーダー
- 自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人・・・エキスバート
- 商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人・・・マーケター
- 全く新しい仕組みをイノベーションできる人・・・イノベーター
- 自分が起業家となり、みんなを管理して、リーダーとして行動する人・・・リーダー
- 投資家として市場に参加している人・・・投資家
の6つだと述べられています。
しかし、この中でも今後生き残っていくのが難しくなるだろう2つのタイプがあります。
どれかわかりますか?
それが、「トレーダーとエキスパート」です。
コモディティが進む現在の社会では、これまでならば、様々な職場で求められ活躍できたタイプの人間が、
どんどん必要とされなくなっていきます。
トレーダーやエキスパートは、これからの消費の仕方や、産業のスピードの変化により価値がなくなっていくのです。
マーケター/イノベーター/リーダー/投資家
第5章以降は、「マーケター/イノベーター/リーダー/投資家」について述べられています。
マーケター
マーケターとは、
顧客の需要を満たす人
のことを言います。
人々の新しいライフスタイルや新たに生まれてきた文化的な潮流を見つけられる人のことを指します。
重要なのは、世の中で新たに始まりつつある、かすかな動きを感じ取る感度の高さと、なぜそういう動きが生じてきたのかを正確に推理できる分析力です。
さらに売るものは同じものでも、「ストーリー」や「ブランド」といった一見捉えどころのないふわふわした付加価値や違いを作れることです。
資本主義社会の中では、常に市場の中で競争が行われ続け、
コモディティ化した商品はどんどん値段が下がってしまいます。
そしてやがて市場から淘汰され、企業が衰退してしまうわけですが、
つまり、企業が衰退しないようにするためには
イノベーションを繰り返して、商品の差異を作り続けること
が重要となります。
この「差異」こそがコモディティ化が進んでいく世の中で、唯一の富を生み出すキーワードです。
この「差異」は
デザイン、ブランド、会社、商品が持つ「ストーリー」
ということもできるでしょう。
これを作り出すことで、自分の商品やサービスの「信者」を作り出すことができます。
これができるマーケターは生き残ることができるでしょう。
イノベーター
イノベーターになるためにはどうしたらいいでしょうか。
イノベーションとは、「今すでにあるものの組み合わせを変える/見方を変える」ことでも起こすことができます。
そういう意味では、特定分野の専門家になるより、
色々な専門技術を知って、その組み合わせを考えられる人の方が大切となります。
また、「常識」の反対を考えてみることでもイノベーションを起こすことができるかもしれません。
リーダー
人をマネジメントする上で重要なことがあります。
それは、
凡人をうまく使うスキルを学ぶ
ことです。
世の中に突出した人はほとんどいません。
しかし、凡人は有り触れるほどいます。
であるならば、「凡人をうまく使うスキル」を身につける方が良いのです。
優れた経営者はここを抑えている人が多いです。
投資家
資本主義の国で生きる以上、株主(投資家)の医師の元生きざるを得ません。
そうであれば、
それならば、自分が投資家として、積極的に資本主義に参加した方がよい
とは思いませんか?
「資本を所有」して、それを自分のために適切な機会に投資した方が、
資本主義に文句を言うより、よっぽど合理的な人生を遅れます。
さて、世の中では、「分散投資」だの「たまごは1つに盛るな」だのという投資に対する考え方がありますが、
この本では、
- リスクとリターンをしっかり把握
- ハイリスクハイリターンの投資機会をたくさん持つ
という投資方法が良いと説明されています。
投資においては「分母」が大切で、たくさん張るといいとされています。
本当の資本主義の時代に探すべきこと
最後の章では、「投資家として生きること、本当の資本主義を生きること」についてまとめられています。
筆者は若い人がこれからの時代を生き抜くために、
リベラルアーツ(教養)
について学ぶといいとまとめています。
これまで必要とされてきた「英語/IT/会計知識」の学問は奴隷になるための学問で、
人間が自由になるためには「リベラルアーツ」を学ぶべきだとしています。
まとめ:これからの時代に必要なのは「唯一無二の存在」
ということで、
今日は「僕は君たちに武器を配りたい」の本の内容をまとめてきました。
この本は2011年に書かれた本ですが
2019年になった今では、ここで書かれていることが顕著になっているのかなと思います。
AIに代替される仕事という話題も出るくらい、
人と同じことしかできない人は取って代わられてしまう時代です。
ぜひ、「スペシャリスト」になって資本主義の社会を生き抜いていきましょう。
それでは今日はこれで^^
https://723to.com/book-review-of-bokuha-kimitachini-bukiwo-kubaritai/
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