こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
この記事では「企業分析」をしていきます。
ソフトバンクも出資しているWeWorkっていう会社が注目されているって聞いたけど、
どんな強みとビジネスモデルの会社なんだろう?
詳しく教えて!
日本でも働き方改革の流れやオフィスを持たない会社が出てきて、「シェアオフィス」が企業やフリーランスに使われることが多くなってきました。
今日は、そのシェアオフィスを運営している企業で注目されている
アメリカ・WeWork
という会社の企業分析を行い、
- WeWorkの事業内容
- WeWorkの強み
- WeWorkの今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
Contents
WeWorkってどんな会社?
コワーキングスペースの運営
などをしている会社です。

コワーキングスペースの運営をしているとは言いましたが、「スペース」ではなく「コミュニティ」を提供するという考えのもと、2010年にアメリカで、アダム・ニューマンにより設立されました。
働き方が多様になってきている世の中で、柔軟性のあるワークスペース、機敏なサービス、そして業界屈指のテクノロジーを提供しているのがWeWorkです。
一時はユニコーン企業トップ10の仲間入りもし、企業価値が「470億ドル」までいき、NY市場への上場が期待されていましたが、昨今の、創業者の経営からの退陣や、日本・ソフトバンクの経営救済策などのニュースもあり、現在、その企業価値は「80億ドル」まで下がってしまっています。
コワーキングスペース市場について
コワーキングスペースの市場は、「メンバー数、デスク数、スペースの広さ」ですべて増加基調にあります。
(米国におけるワーキングスペースの現状① (コワーキングスペース)より)
世界におけるコワーキングスペースの数は 2017年時の1万4,411 件から 2022年には3万件を超える(同期間における年平均成長率は16.1%)と予測されており、比較的成熟した欧米市場に比べ、特に中国やインドを含むアジア太平洋地域におけるコワーキングスペース市場は、今後も急速に成長し続けるとみられています。
米国におけるワーキングスペースの現状① (コワーキングスペース)では、コワーキングスペース市場が成長した理由を以下のように説明しています。
- ギグ・エコノミー(短期契約やフリーランスにより成り立つ経済形態)の発展
- スタートアップ企業の増加
- リモートワーカーの増加と通勤短縮の動き
- 柔軟な働き方を求めるミレニアル世代
- 経費削減に伴う企業のオフィススペース縮小の動き
- 大企業
そして、コワーキングスペース業界の中で、最大手となるのがWeWorkです。
世界中で拠点数を増やし続けています。
2018年2月1日に、東京の六本木アークヒルズに日本第1号店をオープンし、現在はGINZA SIXや丸の内にも拠点を広げています。
WeWorkの強み
WeWorkの強みは、なんといっても、
おしゃれ
であることでしょう。

WeWorkを使っている方のブログなどを色々と読みましたが、だいたい皆さん開口一番「おしゃれ」ということに触れられていました。
私もいくつかのオフィスの内装を見ましたが、デザインセンスはずば抜けているなと思いました。
シェアオフィスやサービスオフィスにはなかった、カジュアルでポップな雰囲気が彼らを惹きつけ、仕事をするときには集中し、休憩するときにはリラックスできる、従来の職場環境には無かった魅力がそこにはあります。
また他の強みとして、「仕事をするために必要な環境がすべて揃っているため、スタートアップが最初のオフィスとして選びやすい」という点もあります。
さらには、新たな拠点を設ける際に最適なオフィス環境を容易に複製できる「技術力」もWeWorkの強みの1つです。
建築デザイン企業Case社を買収したWeWorkは、「ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)」と呼ばれる設計・施工手法を取り入れた。設計図を用いずにオフィス設計ができるため、まるでアプリ開発のように簡単にオフィスが立ち上げられるという。
WeWorkの取り組みは、ソフト面でもユニークです。
コミュニティマネージャーを各拠点に設置し、メンバー同士の交流がさかんになるよう支援する役割を担う。シェアオフィスの主要な利用者でもあるフリーランスが孤独にならず、加えて、福利厚生を享受できる仕組みが人気を集めている。
また、WeWorkは空きスペースのあるビル全体、あるいは、フロア単位で借り上げて、クールなオフィスに仕立てます。
基本的にはオーナーから借りた物件を又貸しするビジネスモデルと言えるでしょう。
不動産オーナーは、中小規模のオフィススペースを柔軟に貸し出したいというニーズを抱えている。 WeWorkのビジネスモデルが秀逸なのは、このような不動産オーナーのニーズにしっかりと応えている点だ。だから、拠点となり得るスペースを探すのにも苦労が少ない。
企業やフリーランスの利用者を誘引するWeWorkによって、その拠点には人が集まる。人が集まれば物件の資産価値も上昇する。ある調査では、WeWorkに又貸しされた物件は、契約後、約25.4%の割合で資産価値が上昇したという。ニューヨークのある拠点では、わずか1年で123%の価値上昇が見られた。不動産オーナーにとって、これほど魅力的な売り文句はないだろう。
(WeWork(ウィーワーク)のビジネスモデル解説、シェアオフィス・コワーキングとの違い | シェアリングエコノミーより)
ウィーワークの今後の戦略
WeWorkでは、シェアオフィスの成功体験をもとにして住宅版WeWorkとも言えるWeLive事業も開始しています。
(welive公式サイトより)
すぐに入居できる賃貸アパートのような位置づけで、今はアメリカのみのサービスですが、今後WeWorkのコワーキングスペースのように世界中に広がってくることは予想がつくでしょう。
WeWorkとWeLiveは併設されているため、その相乗効果によって物件の資産価値もさらに上昇します。
また、「未来の起業家を育てる小学校」WeGrowを運営もしており、不動産オーナー、利用者、地域経済。皆にとって価値のある一つの経済圏を作り上げていくweworkのビジネスモデルにより、これからも成長していくことが予想できるでしょう。
ソフトバンクグループによる資金支援
2019年10月23日に、ソフトバンクグループ(SBG)は、経営難に陥っているWeWorkに対して、大規模な資金支援を実施することを発表しています。
SBGから約50億ドル(約5426億円)を新規に出資するほか、WeWorkの既存株主から最大30億ドル(約3255億円)の株式公開買付け(TOB)を実施する。さらに、SBGがもともと予定していた15億ドル(約1627億円)の出資も早期に実行するとしている。合計で95億ドル(約1兆308億円)規模となるという。
これにより、SBGのWeWorkの株式保有比率は最大80%になる予定。しかし、同社ではWeWorkのいずれの株主総会および取締役会においても議決権の過半数を保有せず同社を支配しないことから、WeWorkはSBGの子会社とはならず、関連会社となる予定だと説明する。
ソフトバンク、WeWorkに1兆円規模の支援–8割の株保有するも子会社化せずより
創業者であるニューマン氏はWeWorkの取締役から退き、経営から外れ、会長にはソフトバンクグループ幹部で、子会社の米通信大手スプリント会長を務めるマルセロ・クラウレ氏が就くとのことです。
創業者が経営から外れ、今後どのように経営再建されていくのかは注目したいところです。
まとめ:コワーキングスペースの運営なのか?不動産運営なのか?
ということで、今日は「WeWorkの企業分析」をしていきました。
この企業の分析をしていると、マクドナルドのビジネスについて浮かんできました。
みなさんハンバーガーチェーン店の「マクドナルド」はご存知かと思いますが、マクドナルドのビジネスは「飲食店」というよりも「不動産業」という見方もできるのですよ。(理由は調べてみてくださいね)
このWeWorkもコワーキングスペースの運営をしているものの、不動産業としての役割も担っていて、世間からの見え方と、やっていることに違う見え方があるところが似ているなあと思いました。
それでは今日はこれで^^