企業分析

フォルクスワーゲンの企業分析【フォーチューングローバル500企業の強み・ビジネスモデルを徹底解説】

こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。

今日は「企業分析」をしていきたいと思います。

ツナモンスター
ツナモンスター
フォルクスワーゲンといえばビートルが可愛くていつか買いたい車なんだ〜
ドイツの会社って聞いたけどどんな強みのある会社なんだろう?
教えて!

ドイツを代表する自動車企業の「フォルクスワーゲン」

製造する車は一般大衆車から高級車まで多岐にわたり、幅広い世代に愛されている会社です。

ということで今日は、

ドイツ・フォルクスワーゲン

の企業分析をし、

  • フォルクスワーゲンの事業内容
  • フォルクスワーゲンの強み
  • フォルクスワーゲンの今後の戦略

を明らかにしたいと思います。

フォルクスワーゲンってどんな会社?

フォルクスワーゲンは

ドイツに本社を置く自動車製造会社

です。

みなさんも、このマークの車が走っているのを見たことが一度はあるでしょう。

商号は、ドイツ語で「国民車」を意味します。

最近は、高級SUVのトゥアレグやFセグメントに属する高級セダンであるフェートンなどを発売し、商号そのものの国民車メーカーから高級車も手がけるブランドへと変貌を図っています。

自動車部門と金融サービス部門の2部門で構成され、自動車部門では自動車およびエンジンの開発・製造・販売を行なっています。

フォーチュン誌が毎年1回発表している、世界中の会社を対象とした総収益ランキングでは、トップ10にランクインしています。

順位企業名総売上
1ウォルマートアメリカ56兆641億円
2中国石油化工集団(シノペック)中国43兆5,499億円
3国家電網公司(ステートグリッド)中国41兆779億円
4中国石油天然気集団公司中国40兆5,669億円
5ロイヤルダッチシェルオランダ37兆6,753億円
6サウジアラムコサウジアラビア35兆2,868億円
7フォルクスワーゲンドイツ30兆2,553億円
8BPイギリス30兆2,399億円
9Amazon.comアメリカ30兆158億円
10トヨタ自動車日本29兆4,558億円

自動車業界について

世界の2大自動車市場である中国と米国で需要が怪しくなる中で、世界の自動車メーカーは急速に販売ペースを落としています。

2009年に世界最大の新車市場となり、2008年のリーマン・ショック後の需要回復をけん引してきた中国は、前年比2.8%減の2,808万台と、3,000万の大台を前に足踏みしました。

マイナスとなるのは1990年以来、実に28年ぶりです。

2019年の販売台数ランキングは以下の通りです。

順位企業台数増減
1フォルクスワーゲン1,097万4,600台1.3%
2トヨタ自動車1,074万2,122台1.4%
3ルノー・日産・三菱自動車連合1,015万5,193‬台▲5.6%
4GM771万7,930台▲8%
5ヒュンダイ719万3,357台▲2.8%
6フォード538万6,000台▲10%
7ホンダ517万595台▲3.5%
8FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)441万8,000台▲9%
9PSA348万8,930台▲6.6%
10ダイムラー334万4,951台▲0.2%

企業別の販売実績では、2016年に初めて首位に立ったフォルクスワーゲンが前年比1.3%増の1,097万台と最高記録を更新し、4年続けてトップを維持しました。

フォルクスワーゲンの最大市場は中国であり、ほかにアメリカやロシア、欧州でも売り上げを伸ばしています。

トヨタは1,074万台(1.4%増)と3年連続でプラスとなり、2年続けて過去最高をマークしました。

2018年は世界ランキング3位でしたが、そこから順位を1つ上げる結果となっています。

このトヨタ自動車の順位には、国内と中国・欧州・メキシコでの売り上げ増加が影響していますが、主力市場としている北米では、アメリカ・カナダともにマイナスという結果となっています。

とはいえ、アメリカやヨーロッパでは、自動車産業は雇用の面で縮小していています。

  • ホンダはイギリスのスウィンドンにある工場を閉鎖すると発表、3,500人が仕事を失うことに。
  • ホンダはトルコの工場も閉鎖する予定。
  • 日産は、イギリスのサンダーランドにある工場でのSUV「エクストレイル」の生産を撤回。
  • ゼネラル・モーターズは2018年11月、全世界で7つの工場を閉鎖すると発表。1万4,000人が仕事を失うもしくは異動することに。
  • フォードはヨーロッパでの事業を縮小、「数千人」が仕事を失うことに。
    ジャガー・ランドローバーは1月、イギリスで5,000人を削減すると発表。

「世界の一部はすでに工業不況だ」というアナリストもいます。

フォルクスワーゲンの強み

フォルクスワーゲンは、実に

「12ものブランド」を傘下

に抱えています。

それこそが、フォルクスワーゲンの強みです。

そのブランドの中には、

アウディ・ポルシェ・ベントレー

など、車が好きな人であれば誰でも一度は憧れたことがあるであろう高級外車の名前が連なります。

下記の表には、フォルクスワーゲンが持つ車種ブランドの「売上台数・売上高・営業利益」が載っていますが、


2018 Annual Reportより)

「売上台数・売上高」はともにフォルクスワーゲンであるものの、「営業利益」となるとアウディやポルシェの方が高くなります。

これは、

フォルクスワーゲンの収益源は最大ブランドのフォルクスワーゲンではなくポルシェ・アウディなどの高級車ブランド

だということを意味しています。

売上高を販売台数で割った1台あたり販売金額は、フォルクスワーゲン約300万円に対しポルシェが約1,200万円、アウディが約525万円、ベントレーは約2,000万円にもなります。

2015年にはディーゼル車の排ガス不正問題が発覚していますが、この不正でフォルクスワーゲンブランドの販売台数が減少したとしても、高級車ブランドで手堅く稼ぐと思われます。

フォルクスワーゲンの今後の戦略

フォルクスワーゲングループが、この2年余りの間に急加速させたのが、

電気自動車(EV)へのシフト

です。

2017年9月に発表した新戦略「ロードマップE」によれば、2025年までにグループ全体で約50モデルのEVを発売し、その年間販売台数は最大300万台に達すると見込んでいます。

そのため、EVに必要なバッテリーの調達などで総額500億ユーロ(約6兆6,000億円)超という業界最大規模の投資を行い、すでに韓国のLGグループやサムスンSDIなど複数のメーカーからの調達を決めています。

フォルクスワーゲンが世界初公開した EVコンセプトカー「I.D.VIZZION(ビジョン)」は、1回の充電による航続距離が最大665キロメートルに達します。

人工知能を搭載し、ハンドルやサイドミラーがない完全自動運転車で、フォルクスワーゲンはビジョンを含む「I.D.」シリーズの4モデルを、2020年以降に順次発売していく考えです。

一方、ディーゼル車の販売も諦めたわけではありません。

2019年2月末にはドイツ連邦行政裁判所が、行政によるディーゼル車の走行禁止を認める判決を出すなど逆風が続いていますが、

ディース氏は「“ディーゼル車=悪”というのは誤解だ。窒素酸化物(NOx)の排出量を低減したクリーンディーゼル車は、厳格化された排ガス規制をクリアしている。現状の電力事情などを考えれば、ディーゼル車を選択した方が環境に良い」と述べ、

お膝元の欧州市場でディーゼル車販売の巻き返しを狙っています。

こうした発言からは、

強みを持つディーゼル車販売で収益を守りつつ、電動化や自動運転化で攻勢をかけよう

というフォルクスワーゲンの世界戦略が見受けられます。

フォルクスワーゲンの株価

フォルクスワーゲンは、「フランクフルト証券取引所」に上場しています。

Trading Viewより)

まとめ:自動車業界も代替エネルギーの流れ

ということで、今日は「フォルクスワーゲンの企業分析」をしてきました。

原油・エネルギーの会社を分析している時もそうでしたが、今の世界の流れは「地球を守る・エコ」ですね。

これをやっていかないと企業も支持されないということでしょう。

それでは今日はこれで^^

【フォーチューングローバル500企業分析】注目すべき総売上世界ランキングトップ10の企業分析をまとめました こんにちは。元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。 この記事では「企業分析のまとめ」をし...