こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
この記事では「企業分析」をしていきます。
なんかTikTokとも関わりがあるみたい?
どんな会社か詳しく教えて!
日本では高校生や学生の間で大人気になっている「TikTok」。
このアプリを提供する会社は、大人気ニュースアプリの「今日頭条(Toutiao/トゥティアオ)」を提供する中国の「字節跳動(Bytedance/バイトダンス) 」という会社です。
Bytedanceはユニコーン企業であり上場していませんが、企業が持つ技術力やその価値から、世界中の投資家から注目されています。
ということで、今日は
中国・Toutiao (Bytedance)/トウティアオ(バイトダンス)
の企業分析をし、
- Toutiao (Bytedance)の事業内容
- Toutiao (Bytedance)の強み
- Toutiao (Bytedance)の今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
Contents
Bytedanceってどんな会社?
Bytedanceとは、
中国で急成長しているニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」や日本でも人気の「TikTok」を提供している
会社です。

このロゴではピンとくる人はいないかもしれませんが、
このアプリを知っている人は多いかと思います。
日本では高校生や大学生を中心に人気になっているSNSアプリです。
日本では「Tik Tok」として有名なこのアプリですが、中国名ですと、
抖音(Douyin)
といいます。
また、中国で人気になっているニュースアプリは
今日頭条(Toutiao/トゥティアオ)
です。
「今日のヘッドライン」を意味する「今日頭条」では、AIが様々なニュースサイトの情報を分析し、利用者の属性に合ったニュースを毎日1億2,000万人の利用者に配信しています。
日本ではTopBuzzとして展開しています。
2012年の中国で、当時29歳のZhang Yimingにより設立されました。
その急成長と技術力により、ユニコーン企業のランキングではトップの地位を獲得しています。
企業名 | 企業価値($B) | 兆円 | 国 | 業種 | |
1 | Toutiao (Bytedance)/トウティアオ(バイトダンス) | 140 | 151 | 中国 | AI |
2 | SpaceX/スペースエックス | 74 | 80 | アメリカ | その他 |
3 | Didi Chuxing/ディディ | 62 | 67 | アメリカ | 交通輸送 |
4 | Instacart/インスタカート | 39 | 42 | アメリカ | サプライチェーン |
5 | UiPath/ユーアイパス | 35 | 38 | アメリカ | AI |
6 | Global Switch/グローバルスウィッチ | 31 | 33 | アメリカ | 交通輸送 |
7 | Databricks/データブリックス | 28 | 30 | アメリカ | データマネジメント・分析 |
8 | Rivian/リヴィアン | 27.6 | 29 | アメリカ | 交通輸送 |
9 | Nubank/ヌーバンク | 25 | 27 | ブラジル | フィンテック |
10 | Epic Games/エピックゲームズ | 17.3 | 18.6 | アメリカ | ゲーム |
ニュースアプリ・ショート動画アプリの市場について
スマートフォンによるニュースの消費は年々伸びています。
アメリカでは利用率は2016年に44%と半分以上の人が、スマートフォンよりニュースの情報を得ています。
スマホユーザー全体の7割がニュースアプリをダウンロードしている一方、週に一度でも利用するユーザーはそのうちの3分の1となっています。
そんなニュースアプリ市場で、今注目が集まっているのが2020年2月時点で世界で最もダウンロードされているニュースアプリ、中国の「今日頭条/Toutiao」です。

また、日本貿易振興機構(ジェトロ)が2017年にまとめた「中国の動画配信市場調査」をみると中国の動画配信市場の急成長ぶりが伺えます。

「快手(Kuaishou)」や日本でも人気の「TikTok(中国語名:抖音)」などのショートムービーの共有アプリがその市場をけん引しています。
第45回「中国インターネット発展統計報告」によると、中国の9.04億人のインターネットユーザーのうち、モバイルインターネットユーザーは99.3%を占めており、また、ショート動画を使用しているネットユーザーは85.6%に達しています。

現行の通信規格『4G』時代にブロードバンドの普及や回線速度の高速化が進み動画コンテンツが急増したため、ショート動画サイトが台頭しました。
今後『5G』が実用化されれば新たなコンテンツが多く誕生し、「5G」時代にはAR(拡張現実)・顔認識といった科学技術がショート動画に応用され、ライブ動画配信やショート動画に新たな変革がもたらされ、産業全体やユーザーにより大きな想像空間を与えるとも言われており、ショート動画市場はこれからも伸び続けることが予想されます。
この流れを受け、2019年世界中でダウンロードされたアプリで2番目に多くダウンロードされたアプリは「TikTok」となっています。

この2つのアプリを運営するBytedanceが「ニュースアプリ市場・動画アプリ市場」でいかに勢いのある会社かお分かりいただけると思います。
Bytedanceの事業と強み
膨大なニュースサイトを配下に収めAIを用いて写真や動画を配信する今日頭条は今や百度(バイドゥ)を脅かす存在になり、Toutiao・TikTokなどのBytedance系アプリは中国モバイルインターネットユーザーのアプリ利用時間の9.7%を占有し、テンセントの47.3%、アリババグループの10.4%に次ぐ第3位の座を占めています。
ByteDanceの2019年の収入は1,200億人民元(1兆8,000億円)で、うち 67%はTikTokの中国版「Douyin」(抖音)、人気のニュースプラットフォーム「Toutiao」(今日頭条)の広告によるものです。
Douyinのユーザーを対象としたライブストリーミングアプリからの収入が17%を占め、残る17%は初期段階のビジネス、ゲーム、通販、Douyinの海外版TikTokなどからの収入となっています。

Bytedanceの強みは、
- AIを活用した、コンテンツのレコメンド
- ユーザーに次々と動画をみせる連続に長けていること
の2つです。
AIを活用したコンテンツのレコメンドでは、
アルゴリズムによるユーザーの趣味志向に合わせたコンテンツを自動的に配信するという方法
で、コンテンツ集約アプリ分野に風穴を開けました。
Bytedanceのアプリの最大の特徴の1つは、ユーザーが「自分でニュースや動画を探さなくてよい」ことにあります。
Bytednance社が誇る強力な機械学習の技術が、視聴者ごとに最適化された動画をお薦め(レコメンド)してくれ、ユーザーがアプリを使えば使うほど、その精度は高くなります。
AIを活用した、コンテンツのレコメンドの仕組みは以下の通りです。
微信などのSNSと紐づけて登録すると、趣味趣向が分析されて過去のスマートフォンで起こしたアクションに関連するニュースを中心に配信される。
中国のニュースSNSアプリ「今日頭条」人気の理由より
加えてプロフィール画像が上半身なのかイラストなのか全体像なのかなどで、似たような趣味趣向があるとし、その画像情報を得て自動的に配信するニュースを選別する。
また、TikTokのグローバルマーケティング戦略は、
文化の違うグローバル市場への進出において各国のコンテンツ消費習慣や文化に合わせた展開方法
を取っています。
中国では先発の「快手」が人気だったため、TikTokではグローバル戦略に力を入れることで世界で人気の動画アプリとなりました。
現在、TikTokの利用が禁止されているインドネシアを除き、11カ国でInstagramを上回るほど人気を集めています。
ByteDanceの懸念点といえば、中国の国内市場の極めて競争の激しい直面していることです。
前述の通り、中国では先発のTencentが支援する「Kuaishou(快手」が人気で、Kuaishouは毎日3億人が利用していおり、現在のTikTokの1日あたりアクティブユーザーは4億人で、人気が拮抗しています。
とはいえ、Bytedanceの2つ目の「画面をスワイプするとすぐに次の動画になり動画終了後には自動リピート、というユーザーに次々と動画をみせる連続に長けているという強み」により、それぞれの使用時間を比較すると、Douyinのほうが明らかに長時間使われていることがわかります。

アメリカやインドのメディアはしばしばTikTokの中毒性が指摘されており、中国のIT企業のなかでも、Bytedanceはとりわけユーザーの可処分時間を奪うのが上手な会社と認識されています。
ユーザーにコンテンツをレコメンドする機能自体はTikTokオリジナルではなく、YouTubeにもレコメンド機能はありますし、多くのプラットフォームで実装される機能の1つです。
また、TikTokにも検索機能は付いています。
しかし、ここまで検索よりもレコメンドに振り切ったサービスは、TikTokが初めてなのです。
本当に最近まで、ネット上で情報に接する際にユーザーがとる行動はあくまで「検索」でした。
いま起きているのは、その「検索」がついに「レコメンド」にとって代わられようとしているという、大きな潮流の変化です。
この歴史的転換の背景には、近年のAI技術の驚異的な進歩があります。それが次の「TikTokが世界最強のSNSになり得る理由」にもなっています。

Bytedanceの今後の戦略
ByteCanceはソーシャルメディアとは直接関連のないセクターへの投資を開始しています。
ロイターは、同社が人工知能が生み出す音楽を手掛ける英新興企業ジュークデックから人材を採用したと報じています。
また、幼少時向けAIオンライン教育アプリケーション「GuaGuaLong English」・「GuaGuaLong Mind」を4月にリリースしました。
中国では、教育用アプリのデイリーアクティブユーザーが8700万人から1億2700万人と46%急増しているため、今後は元々の強みであるAI技術により、中国の教育領域でもプラットフォームを強化し、中国の教育業界で新規参入者としてシェア拡大を狙っています。
Bytedanceの企業価値は昨年の75億ドルから140億ドルへと急成長しており、昨今マイクロソフトによるTikTok部門の買収が話題になっていますが、この分野が買収されることで企業価値にどう変化が出るか注視したいところです。
まとめ:プラットフォームを提供する企業は強い
ということで、今日は「Toutiao/ByteDance」の企業分析を行ってきました。
やはりプラットフォームを提供する企業は強いですよね。
情報は毎日どんどん蓄積されますし、それによった新しいサービスが生まれる。
すごいなあと思います。
それでは今日はこれで^^
