こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
今日は「資産運用」の話です。
みなさん、株式を持っていると「配当金」をもらえるのはご存知だと思いますが
この「配当金」ってどこが原資になっているか知っていますか?
また、ネットなどで「配当」と調べると「配当利回り」なんて言葉も出てきますが
「配当利回り」の意味を知っていますか?
と、このように「配当」と一言に言っても
「いろんな関連用語が出てきてわけわからん!」
という人もいるでしょう。
というわけで今日は
「配当」について
解説していきたいと思います。
・株式の配当金について気になっている
・「配当利回り」とか「配当性向」とかわからない
という人はぜひ読んでくださいね。
「配当」の仕組みとは
まず、「配当」とは以下のことを言います。
配当とは、「会社が得た利益の一部を、株主へ支払うもの」です。
株主とは、お金が足りない企業に対してお金を投資する人や企業のことをいいます。
事業がうまくいったお礼として、利益の一部を還元する行為が配当です。
配当金とは:みんなの株式より
ということで、
企業が出した利益を株主に還元する
仕組みとして「配当金」としてお金を支払っているということです。
以前、「株式を持っているとどんなことが享受できるか」という記事を描きましたが
その時に
株式を保有していると、
配当金を受け取れるだけではなく、
議決権を行使でき、企業の経営に参加できるともお伝えしました。
つまり、株主=企業の一員として存在しているので
企業が出した利益を受け取ることができるということです。
「配当金」の原資は?
通常みなさんが受け取っている配当金は
利益剰余金
を原資とした配当金を受け取っています。
決算書・貸借対照表などを見たことがある人には馴染みのある言葉かと思いますが
利益剰余金とは、企業が生み出した利益を積み立てたお金で、会社内部に蓄積されているものを指します。
企業会計において貸借対照表の純資産の部に記載される、株主資本の一部です。
利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金で構成されます。
みなさんは、こんな図を見たことはありませんか?
【ファイナンス】財務ノマドによる「経営に必要な会計講座」:第17回 貸借対照表のポイント3 自己資本比率を高めて財政基盤を強化するより
左側の貸借対照表の下側の純資産の中の「利益剰余金」というところから、「配当金」は捻出されています。
「配当金」のあれこれ
さて、「配当金」について理解してもらったところで
他の用語の解説もしていきたいと思います。
配当利回りとは
株を買おうと思った時に、「配当金がたくさんもらえる方がいい!」と
「配当金の額」について調べる人は多いと思いますが
「配当利回り」について調べている人はどれくらいいますか?
「配当金の額」は企業によって固定された額となっています。
例えば、
トヨタ自動車なら税引き前で1株120円
JTなら税引き前で1株77円
三越伊勢丹なら税引き前で1株6円
となっています。(2019年予想・実績/半年分)
この数字だけを見ると、
「トヨタの株が一番配当がいいじゃないか!」
と思うかもしれません。
もちろん金額だけを比較すればその通りです。
それぞれ
トヨタ自動車なら税引き前で12,000円
JTなら税引き前で7,700円
三越伊勢丹なら税引き前で600円
の配当金を受け取ることができますので
一番多く配当金を受け取れるのはトヨタ自動車ということになります。
が、「配当利回り」で考えると一番率がいいのはJTになります。
いい質問です。
なぜかというと、
配当利回りには「現在の株価」が影響してくるから
です。
「配当利回り」とは式で表すと以下のようになります。
一株当たりの年間配当金÷現在の株価
このような式で求めるので
「現在の株価」が大きければ大きいほど、配当利回りは低くなります。
この式に当てはめて3社の「配当利回り」を計算してみると
JTなら税引き前で「6.22%」
トヨタ自動車なら税引き前で「3.47%」
三越伊勢丹なら税引き前で「1.33%」
となります。(6月3日時点の予想配当利回り)
配当金の額はトヨタ自動車の方が大きいわけですが
JTの方がトヨタ自動車よりも株価が低いため
「配当利回り」としてはJTの方が高くなるのです。
自分が投資した金額に対してどれくらいの還元があるか
知りたい場合は
「配当金の絶対額」よりも「配当利回り」を見た方がいいですし
「配当利回り」は「現在の株価」を参照していますので日々変化します。
この辺りを頭に入れておくと良いでしょう。
配当性向とは
また、株主還元という話題になると「配当性向」という言葉を聞くと思います。
配当性向とは
配当性向とは、利益をどれだけ株主に配当するかという割合。
配当性向(%) = 1株当たり配当額 ÷ 1株当たり当期純利益 × 100
配当性向が低いということは、利益を内部留保していることを示す。
配当性向とは・意味:MBAのグローバル経営大学院より
ということです。
企業が稼いだ利益をちゃんと株主還元してくれているかを測る指標
と言っても良いでしょう。
先ほどの三社の前期配当性向を比べてみると
JTは「69.7%」
三越伊勢丹は「34.7%」
トヨタ自動車は「33.8%」
となります。
配当性向の数字だけで比べればJTが株主還元が一番されているということになりますが、
ここで注意が必要です。
成長企業は利益をできるだけ投資に回すことで成長して企業価値を上げるので、成長企業の配当性向は低くなる。
一方で、成熟企業は投資を必要としていないため、高い配当性向を市場は期待する。
配当性向については以上のように解説することもできるので
一概にトヨタの配当性向が一番低くからといってトヨタが株主還元していないということにはなりません。
現にトヨタは「水素自動車のミライ」や「全自動運転」などの開発により
成長投資を多額に行なっています。
こういったところにも利益から投資する必要があるために
配当性向をJTほどあげていないのも現状です。
よって、配当性向は株主還元しているかをみる1つの指標にはなりますが
これが全てではないことには留意しましょう。
ちなみに、配当性向は20-30%が一般的と言われていますので
トヨタでも十分に株主還元をしていると言えると思います。
まとめ:配当金について調べる時はいろいろと指標を参考にしましょう
ということで今日は「配当金」について解説してきました。
「配当金」といっても絶対額をみるだけではなく
「配当利回り」をみる必要があることや「配当性向」なども見るのが良いということはお分りいただけたと思います。
6月に配当権利日がくる銘柄もたくさんあるので
ぜひ配当について調べてみると良いと思います。
それでは今日はこれで^^
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