こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
最近薬価で「約1億円」っていう血友病の薬が商品されたらしいね。
どんな企業の薬で、どんな強みがあるんだろう?
詳しく教えて!
遺伝子治療に強みを持つ「Spark Therapeutics」。
今日は、
アメリカ・Spark Therapeutics/スパーク・セラピューティクス
の企業分析をし、
- Spark Therapeuticsの事業内容
- Spark Therapeuticsの強み
- Spark Therapeuticsの今後の戦略
を明らかにしたいと思います。
Contents
Spark Therapeutics/スペースセラピューティクスってどんな会社?
バイオ医薬品の研究開発
をしている会社です。
2013年にジェフリー・D・マラゾ、 キャサリン・A・ハイによって設立されました。
遺伝子治療に強みを持ち、血友病と先天性眼疾患に特化して研究開発
を行っています。
創業者であるキャサリン・A・ハイがフィラデルフィア小児病院で取り組んでいた血友病に対する治療法を商業的に開発するために作られました。
その技術力から、MITテクノロジーレビューが選ぶ「賢い会社50」にランクインしています。
企業名 | 事業内容 | |
1 | NVIDIA (米) | 半導体の製造開発 |
2 | Space X (米) | ロケット開発 |
3 | Amazon (米) | EC・クラウドサービスの提供 |
4 | 23andMe (米) | 遺伝子検査の実施・レポート販売 |
5 | Alphabet (米) | 検索エンジン・クラウドコンピューティング |
6 | iFlytek (中) | 音声認識システムの開発 |
7 | Kite Pharma (米) | バイオ医薬品の研究開発 |
8 | Tencent (中) | メッセージアプリ・オンラインゲーム開発 |
9 | Regeneron (米) | バイオ医薬品の研究開発 |
10 | Spark Therapeutics (米) | バイオ医薬品の研究開発 |
バイオ医療品市場
世界のバイオ医療品市場は、先日も説明した通り拡大し続けています。
世界の医療品市場が拡大する中で、年々バイオ医薬品の売り上げは増加しており、
2016年には約2,012億ドル(バイオ医薬品比率31.5%,抗体医薬品891億ドル)に達し、
今後も2022年には約3,249億ドル(バイオ医薬品比率37.5%、抗体医薬品1,728億ドル)に達する、と売上の増加が予測されています。
バイオ医薬品市場の最も大きな市場はアメリカですが、日本市場においても拡大しており、2016年には約1腸4,219億円(バイオ医薬品比率13.6%、抗体医薬品8,943億円)となっています。
(バイオ医薬産業の課題と更なる発展に向けた提言:医薬産業政策研究所リサーチペーパーズ シリーズより筆者作成)
また、開発されている薬の数も増えています。
今後のバイオ医薬品市場の拡大の予測の根拠には、開発品目の増加が挙げられる。
開発中の抗体医薬品の増加に伴い対象疾患の拡大が見られ、標的分子数も承認された品目は41であるのに対し開発中の品目では232と増えている。
バイオ医薬産業の課題と更なる発展に向けた提言:医薬産業政策研究所リサーチペーパーズ シリーズより
これからもバイオ医薬品市場は伸びていくことが予想できるでしょう。
Spark Therapeuticsが開発・発売する薬と強み
Spark Therapeuticsは
遺伝子治療を専門
としているところが強みです。
遺伝子治療はこれまで治療できなかった病気に使えるほか、効果が長く続くと期待されています。
課題だった安全性も向上し、欧米や中国で開発が加速しています。
血友病や先天性眼疾患に取り組んでおり、血友病では有望な治療薬候補を開発し、米ファイザーと提携した。眼科領域では17年に米国初となる遺伝子治療薬「ラクスターナ」の承認を得ました。
ラクスターナは希少な目の遺伝病に対する治療薬で「85万ドルの薬価」設定も当時は話題となりました。
(【電子版】革新的な眼疾患の遺伝子治療薬、米バイオ企業が9600万円で販売へ:日刊工業新聞より)
希少な目の遺伝性疾患に対する革新的な遺伝子治療薬「ラクスターナ」が、両目85万ドル(約9600万円)、片目42万5000ドルという価格で販売される。
ラクスターナが米食品医薬品局(FDA)に先月承認されて以来、価格を巡る臆測が広がっていた。相次いで開発されている1回の治療で目覚ましい結果を生む初の医薬品の一つであり、それに見合ったコストがかかる可能性があることも明らかだったためだ。
【電子版】革新的な眼疾患の遺伝子治療薬、米バイオ企業が9600万円で販売へ:日刊工業新聞より
記事にも書かれている通り、2014年にアメリカの製薬会社であるファイザーと血友病Bに対する遺伝子治療の開発において提携を結びました。
スパーク・セラピューティクスが治療薬を持つ血友病では、欠乏している遺伝子が血液凝固のプロセスに影響を与えています。
患者は、血液凝固因子が作れないため、怪我をした際に最悪のケースでは命にかかわる可能性のある、過剰な出血の原因となります。スパーク・セラピューティクスとファイザーは、2014年12月にSPK-9001を含むSPK-FIXプログラムの共同研究を開始しました。
共同研究契約に基づき、スパーク・セラピューティクスはあらゆる製品候補のすべての第I相/第II相試験の実施を担当します。一方、ファイザーは、この提携の成果となるすべての製品に関するピボタル試験、規制関連業務、さらにはグローバルな展開が予想される製品化・事業化を担当します。
遺伝子治療は治療によっては「1億円以上」の治療費がかかり値段が高いものの、治療が1回限りで済むといったところが注目されています。
1回の治療で済むため、たとえ数億円の治療費であっても費用対効果が高いと示した論文もあります。
ロシュによる買収
Spark Therapeuticsは、2019年2月にスイスの大手医薬品企業ロシュ・ホールディングに43億ドル(約4,750億円)で買収されています。
(Roche公式サイトより)
遺伝子治療薬分野は最近注目されている分野でもあり大手製薬会社としてはこの分野のノウハウと販売薬が欲しかったのだろうと思います。
Spark Therapeuticsの今後の戦略
Spark Therapeuticsは2013年に設立されたばかりですし、薬自体も商品化されているのは、2017年に眼科領域では17年に米国初となる遺伝子治療薬「ラクスターナ」 のみです。
しかし、様々な分野での遺伝子治療薬の研究が進められています。
(Spark fact sheet:Spark Therapeuticsより)
これらの分野で遺伝子治療薬ができれば1回数億円の収入となるような薬できます。
今後の研究開発の進み具合が気になるところです。
まとめ:バイオ医薬品研究開発には時間がかかる
ということで、今日は「Spark Therapeutics」の企業分析をしてきました。
先日白血病治療薬「キムリア」の薬価が3,349万円というニュースがあり
「高すぎだな・・・。」と思っていましたが、今日紹介した「ラクスターナ」の方が高くてさらにびっくりしました。
研究に長い年月と膨大な研究費がかかっているためそれを回収するためのお金が乗っているので仕方ないのかもしれませんが、医療って夢のようだけど残酷でもあるなあと感じました。
とはいえ今までは治せなかった病気が治せるようになるというのは嬉しいですね。
それでは今日はこれで^^