こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
この記事では「企業分析」をしていきます。
人工知能に関係ある会社が日本では一番企業価値が大きいらしいけど、どんな会社なんだろう?教えて!
人工知能開発で、トヨタ自動車やファナックなどの大手企業から資金を調達し、プリファード・ネットワークス。
事業面でも連携を進め、今日本で一番注目されているスタートアップ企業です。
今日は
プリファードネットワークス
の企業分析をしていき、
- プリファードネットワークスがどんなことをやっているのか
- プリファードネットワークスの強みはなんなのか
- プリファードネットワークスの今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
プリファードネットワークスってどんな会社?
深層学習技術とロボティクス技術のビジネス活用
をしている会社です。
2014年に西川徹氏、岡野原大輔氏らにより創業されました。
日本のIoT分野での活用を中心にディープラーニングの研究と開発を行っています。
人工知能・ディープラーニングは、今世界的に注目されている分野で、様々な企業が「〇〇×AI」という形で新しいマーケットを作ろうとしています。
そのため、様々な企業と提携のできる「AI・ディープラーニング」の研究開発を行っているプリファードネットワークスに注目が集まっています。
プリファードネットワークスの企業価値は30億ドルを超えており、時価総額10億ドルの企業価値となっている未上場の企業のユニコーン企業の1つとなっています。
また、国内スタートアップ企業の中では時価総額が1番大きくなっています。
ユニコーン企業として日本企業で一番注目されている企業と言っても過言ではないでしょう。

AI/深層学習技術市場について
IT専門調査会社 IDC Japanの国内AIシステム市場予測によれば、2019年の国内AI(Artificial Intelligence:人工知能)システム市場は、市場規模(エンドユーザー支出額ベース)が818億4,400万円、前年比成長率は56.0%になりました。
2019年は多くの企業でAIに関する複数の利用を目的(ユースケース)とした実証実験(POC:Proof of Concept)や実利用へのプロジェクトが数多く実施されました。
(国内AIシステム市場予測を発表:IDC Japanより)
POC前にユーザー企業がAIの活用と自社ビジネスの関連性をアセスメントし、AIによる様々な効果測定の指標を設定したことや、これらの指標を用いてプロジェクトに経営層を巻き込むなどの取り組みが、功を奏する事例が増えています。
これによって同市場の57.0%占めるサービス市場が、前年比で59.5%増加したことがAIシステム市場成長の主な要因となっています。
さらにソフトウェア市場が、AI機能が組み込まれているAIアプリケーションの需要の増加によって、同52.4%増となったことも大きな要因の一つとなっています。
またハードウェア市場が、AIの学習や推論の実行に不可欠な高性能コンピューターの需要の高まりによって、同51.1%増と好調に推移しました。
2020年の国内AIシステム市場は前年比43.2%増の1,172億1,200万円、2019年~2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は33.4%で推移し、2024年には3,458億8,600万円になると予測しています。
今後、企業がさらにAIを活用し、企業内外におけるビジネスと付随するプロセス変革、および業務の自動化がいっそう進むことによって、AIシステム市場は高い成長を続けていくと予測しています。
プリファードネットワークスの強み
プリファードネットワークスが開発した
オープンソースの深層学習フレームワーク「Chainer」(チェイナー)
は、世界中の企業や開発者に利用され、AIの研究開発の最前線に食い込んでいます。

ディープラーニングは、AIの学習手法の一つです。
膨大な量のデータの中からコンピュータが特徴を洗い出すという、人間の脳にヒントを得た構造を持ち、第3次AIブームのきっかけともなった技術です。
深層学習のプログラムを書くために利用するフレームワークについては従前、一般的に使われていたものは使いにくさが課題でありました。
また、ネットワーク分野は進化速度が激しく、ディープラーニングをビジネス現場で利用しようとしても確定したアルゴリズムの開発が追いつく状況になく、ビジネス現場に浸透させるには困難でした。
このようなディープラーニングの使いにくさに疑問を抱き解消しようとしたのが、プリファードネットワークス創始者の西川徹氏と岡野原大輔氏です。
彼らは当時まだ東京大学の学生でしたが、徐々に開発を進め、後にChainer(チェイナー)と呼ばれるソフトウェアを開発することになりました。
チェイナーは自動運転技術などの実現を支えるまでになっており、AIをさまざまな分野で活用させることに大いに役立っています。
プリファードネットワークスが重点事業領域に掲げる共同事業が3つあります。
それが、
- 「交通システム」に関する取り組み
- 製造業
- バイオヘルスケア
の3つです。
1つ目の「交通システム」に関する取り組みは、自動運転とコネクテッドカー(ICTを搭載したクルマのことで、周囲の交通状況や車両の状態などのデータを収集することができる)の研究開発を進めており、2014年からトヨタ自動車との共同研究を進めています。
事故時に自動的に救急車を呼ぶ、周囲の交通情報を活用し自動運転を実現するなど、さまざまな活用法が考えられています。
また、クルマ同士がつながり相互に通信し合うことで、個別のクルマが経験したことのない状況や、行ったことのない場所でも対応が可能になります。
周囲の状況やドライバーの意図など、クルマ同士の情報交換が成り立つようになります。
交通というリアルタイムの情報処理が生命の安全に関わる分野では、情報を毎回クラウドに送って処理していたのでは間に合いません。
高頻度、低レイテンシ(短時間で処理過程を完了させ、遅れが生じないこと)のデータ分析と共有を可能にするのが、「エッジヘビーコンピューティング」であり、それこそがプリファードネットワークスの技術なのです。
2つ目の製造業に関する取り組みでプリファード・ネットワークスが手を結ぶのは、ファクトリー・オートメーションを推進するロボット、ロボマシンのメーカーであるファナックです。
これまで、工場のロボットは人間からインプットされた指示通りの動きをこなすことはできていましたが、見えないモノの動きの予測や形が一定でないもの(液体や生鮮品など)の検出には課題がありました。
ディープラーニングとIoTの組み合わせが製造業に適用できれば、経験で得たデータから学習した物理モデルを他のロボットと共有、協働することができます。
プリファード・ネットワークスは製造業において「止まらない工場」の実現を目指しており、ファナックの技術と合わせてファクトリー・オートメーションを進めています。
3つ目のバイオヘルスケアについては国立がん研究センターおよびDeNAと協業をしています。
2016年にDeNAと共同でPFDeNAを設し、ディープラーニングを活用し、少量の血液からがん細胞の有無を判定するシステムの開発を進めています。
がん発生時に体内で発生する「マイクロRNA」の計測データと臨床情報をもとにプリファード・ネットワークスがディープラーニングを用いた解析を行い、乳がんや肺がんなど、14種類のがんの発生を判定するアルゴリズムの開発を進めています。
また、
「コンピューターサイエンスの分野において、PFNほど、優秀な人の密度の高い企業は日本で他にない」
トヨタも虜にする「天才が憧れる天才」AI企業、PFNゴールデンチームの全貌 より
と言われるほどの優秀な人材を集めているのも、この会社の強みとなっています。
プリファードネットワークス今後の戦略
今、プリファードネットワークスでは「パーソナルロボット」に力を入れています。
人間の生活空間で、まだまだネットワークに繋がっていない部分がたくさんあるなかで、ロボットのようなものは、現実世界に直接アクションを起こせるんです。
5年以内にAIは社会に浸透する Preferred Networks社長 西川氏×村田機械社長 村田氏が語った、AIで変わる未来より
つまり、まだインターネットに繋がっていないものを繋げられるようになるわけですね。
こういったロボティクスとAIの技術がともに発展して、実生活で役に立つAIの技術が一般の社会に浸透している世界が、この5年の間に現れるんじゃないかと思います。
と、代表の西川氏も話しているとおり、私の生活により密着した、より役立つロボットが現れてくるかもしれません。
他、西川氏のインタビューはこれからの日本の企業や産業についての意見が書いてあり、とても面白かったので読んでみることをお勧めします。
▶︎ この国は技術でよみがえる、 武器はハードとAI
▶︎ 5年以内にAIは社会に浸透する Preferred Networks社長 西川氏×村田機械社長 村田氏が語った、AIで変わる未来
まとめ:日本で今一番注目の会社
ということで、今日は「プリファードネットワークスの企業分析」をしてきました。
西川社長は新規上場については特に明言していませんが、今日本のIPO関連では一番注目株かもしれません。
上場するならぜひ買い付けしたい企業です。
それでは今日はこれで^^
