こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
この記事では「企業分析」をしていきます。
中国で人気の「快手」の登録ユーザー数は2019年4月現在、7億人を超えています。
その「快手」の運営会社が「北京快手科技(Beijing Kwai Technology)」と言います。
今日は、
中国・北京快手科技
の企業分析を行い、
- 快手の事業
- 快手の強み
- 快手の今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
北京快手科技ってどんな会社?
北京快手科技は、
動画編集・共有アプリ「快手(Kuaishou)」を運営している
会社です。

「快手」は57秒以内の短い動画の編集と共有ができます。
食べ物、ショッピング、ヘアチュートリアルといった生活感に溢れるコンテンツから奇妙で面白いパフォーマンスまで、様々な動画クリップやライブストリームが共有されています。
日本ではあまり馴染みのないアプリですが、2019年4月現在、7億人が利用している動画アプリです。
日本では動画アプリでは「Instagram」が人気ですが、中国では、GoogleやFacebookなどのアメリカのSNSアプリは政府に規制されているものが多いため、中国独自の動画SNSアプリが使われることが多いです。
また、中国の動画アプリでいえば、日本でも人気の「TikTok(中国名は抖音)」が人気ですが、実は中国国内だけに限ると、一番人気があるアプリは「TikTok」ではなくて「快手」なのです。
企業価値は180億ドルを超えており、ユニコーン企業トップ10にランクインしています。
企業名 | 企業価値($B) | 兆円 | 国 | 業種 | |
1 | Toutiao (Bytedance)/トウティアオ(バイトダンス) | 140 | 149.8 | 中国 | AI |
2 | Didi Chuxing/ディディ | 62 | 65 | 中国 | 交通手段 |
3 | SpaceX/スペースエックス | 46 | 49.2 | アメリカ | フィンテック |
4 | Stripe/ストライプ | 36 | 38.52 | アメリカ | 旅行 |
5 | Kuaishou/快手 | 18 | 19.26 | 中国 | 旅行 |
6 | Instacart/インスタカート | 17.7 | 19 | アメリカ | サプライチェーン |
7 | Epic Games/エピックゲームズ | 17.3 | 18.5 | アメリカ | ゲーム |
8 | One97 Communications/ワン97コミュニケーションズ | 16 | 17 | インド | フィンテック |
9 | Yuanfudao/猿輔導 | 15.5 | 16.2 | 中国 | 教育テック |
10 | DJI Innovations | 15 | 15.7 | 中国 | ハードウエア |
ショート動画アプリ市場
ショート動画アプリ市場においては、今後5年間で中国のショート動画の数は14倍増え、スマホのトラフィックの70%がショート動画に利用される、との予測を、ある関係機関が示しています。
2019年には、ショート動画の市場規模が300億元に達すると推定されています。
第43回「中国インターネット発展統計報告」によると、中国の8億2,900万人のインターネットユーザーのうち、モバイルインターネットユーザーは98.6%を占めており、そのうち、ショート動画を使用しているネットユーザーは6億4,800万人に達したといいます。
上記のように、現行の通信規格『4G』時代に、ブロードバンドの普及や回線速度の高速化が進み、動画コンテンツが急増し、ショート動画サイトが台頭しました。
今後『5G』が実用化されれば、新たなコンテンツが多く誕生し、「5G」時代には、AR(拡張現実)、顔認識といった科学技術がショート動画に応用され、ライブ動画配信やショート動画に新たな変革がもたらされ、産業全体やユーザーにより大きな想像空間を与えるとも言われており、ショート動画市場はこれからも伸び続けることが予想されます。
さて、中国のショート動画市場で人気のアプリが「快手」と「TikTok」です。
中国のショット動画アプリといえば、一般的には「TikTok」というイメージがあると思いますが、実は、中国国内で一番人気があるアプリは「TikTok」ではなくて「快手」です。
TikTokはローンチしてからまだまだ短いですが、成長が早くて今では快手と肩を並べるまでなり、さらに快手を超える勢いもあります。
ただ、TikTokのグローバル展開がうまくいき、海外ではTikTokが人気なのです。
それにより、2018年世界中でダウンロードされたアプリで4番目に多くダウンロードされたアプリは「TikTok」なのです。
快手の事業と強み
登録されているユーザー数は7億人以上、毎日アップロードされるビデオコンテンツは平均1000万件以上となっており、
これは、中国のモバイルアプリケーションにおいて、WechatやQQ、Weibo等に次いで、トップ5に入るであろう圧倒的な数字となっています。
デイリーアクティブユーザーは1億5,000万人、ユーザーの1日当たり平均利用時間は60分まで伸びました。
業界関係者は、2019年末にも「快手」のデイリーアクティブユーザーは2億人に達し、売上高は400億元(約6,500億円)を超えると予想しています。
「快手」は、
動画のみではなく、ライブストリームのアプリとしてもかなり人気
があります。
ライブ配信を主な収益源とする「快手」の今年の売上高は200億元(約3300億円)に達する見込みです。
彼らの強みは、
独自のレコメンドアルゴリズムを使用したオススメ機能でユーザーをコンテンツに引き込み、その関心を、SNSへの関心へ昇華させること
にあると言えます。
「快手」はAIシステムにより、高質な動画を「発見」画面に配信して全国の人が見えるようにしています。
TikTokよりも人気? 中国ナンバーワンショット動画アプリ快手(Kuaishou)とはより
高質な作品さえあれば何十万のインプレッションが獲得でき、フォロワーも獲得できます。
彼らのサービスで特徴的なものの一つには、GPS情報などから自身の近くに居るユーザーの投稿したコンテンツを見つけられるサービスが挙げられ、それによってユーザーはより深くSNSへ入り込むとともに、コンテンツを投稿するユーザーも、より多くのフォロワーを獲得することが可能となっています。
【快手(Kuaishou)】7億のユーザーを抱えるショートビデオSNSを展開 :中国ユニコーンFile022より
快手の今後の戦略
中国のショート動画は女の子がダンスしてるだけの時代はとうの昔に終わり、あらゆるジャンルの動画がアップされています。
なかでも、勉強熱心な中国ユーザーからは「教育系」が注目されています。
「快手」は教育系コンテンツ制作者へのシステムをアップデート。
Kwaiの教育コンテンツの充実が凄い。tiktokとの競争は続くより
教育コンテンツをパッケージとして売る機能と教育コンテンツをライブ動画で配信する機能を提供し、ユーザー数が大幅に増えているのです。
2018年6月から2019年8月まで、「快手」の有料教育プラットフォームの月間平均加入者は95%以上増加し、有料加入者の累計数は160万人を超えました。
また、2019年9月には、北京快手科技(Beijing Kwai Technology)が事業内容に「映画制作・配給」を加えたことが明らかになっています。
「快手」は現在、ユーザーが投稿したコンテンツで構成するドキュメンタリー映画の制作準備を進めており、2020年上半期の公開を予定しており、劇場上映される可能性も高いそうです。
ショート動画と比べ、映画関連コンテンツなどの長編動画は没入感が強く、差別化も図れるため、ユーザーを囲い込んでサ―ビスとの結びつきを強められます。
今後もこのように、ショート動画アプリ事業で培ったノウハウや消費者の求めているもののデータを元に、他分野へと進出していくことが見込まれています。
まとめ:ショート動画アプリのその先
ということで、今日は「Kuaishou/快手」の企業分析をしてきました。
これから5Gの時代も来るということで、今後「動画」の重要性は高まっていくと思いますし、ライブ動画や動画コンテンツを見たその先の消費行動なども変わってきそうですね。
ぜひこの分野は注目したいところです。
それでは今日はこれで^^