こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
この記事では「企業分析」をしていきます。
中国で人気の「快手」の登録ユーザー数は2020年12月時点で8.5億人、月間アクティブユーザー4.3億人、デイリーアクティブユーザーは3億人となっています。
その「快手」の運営会社が「北京快手科技(Beijing Kwai Technology)」です。
今日は、
中国・北京快手科技
の企業分析を行い、
- 快手の事業
- 快手の強み
- 快手の今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
北京快手科技は香港市場に上場しているので株式を売買できます!
SBI証券で取り扱いがあります!
北京快手科技ってどんな会社?
北京快手科技は、
動画編集・共有アプリ「快手(Kuaishou)」を運営している
会社です。

「快手」は57秒以内の短い動画の編集と共有ができます。
食べ物、ショッピング、ヘアチュートリアルといった生活感に溢れるコンテンツから奇妙で面白いパフォーマンスまで、様々な動画クリップやライブストリームが共有されています。
日本ではあまり馴染みのないアプリですが、上記の通り2020年12月時点で8億人が利用している動画アプリです。
日本では動画アプリでは「Instagram」が人気ですが、中国では、GoogleやFacebookなどのアメリカのSNSアプリは政府に規制されているものが多いため、中国独自の動画SNSアプリが使われることが多いです。
快手は長らくユニコーン企業として有名でしたが、2021年2月5日に香港市場に上場。
1株あたり338香港ドル(約4,593円)で取引を開始し、公開価格115香港ドル(約1,563円)に対して194%高を付け急騰しました。
これにより、同社の時価総額は1兆4,000億香港ドル(約19兆250億円)近くまで膨らみ、香港市場の時価総額ランキングでいきなり5位に急浮上しました。(1~4位はネットサービス大手の騰訊(テンセント)、電子商取引(EC)大手の阿里巴巴(アリババ)、生活関連サービス大手の美団(メイトゥアン)、国有銀行大手の中国建設銀行の順です。)
ショート動画アプリ市場
2019年のネット動画・音声サービスの総市場規模は4,541億3,000万元(約7兆1243億円)、ショート動画の市場規模はその3割近い1,302億4,000万元(約2兆432億円)に達しており、わずか1年で約2.8倍に拡大しています。
現行の通信規格『4G』時代にブロードバンドの普及や回線速度の高速化が進み、動画コンテンツが急増し、ショート動画サイトが台頭しました。
今後『5G』が実用化されれば、新たなコンテンツが多く誕生し、「5G」時代には、AR(拡張現実)、顔認識といった科学技術がショート動画に応用されライブ動画配信やショート動画に新たな変革がもたらされ、産業全体やユーザーにより大きな想像空間を与えるとも言われており、ショート動画市場はこれからも伸び続けることが予想されます。
ショート動画の急成長を牽引するのが、中国のショート動画市場で人気のアプリの「快手」と「TikTok」です。
中国のショット動画アプリといえば一般的には「TikTok」というイメージがあると思いますが、実は、中国国内で一番人気があるアプリは「TikTok」ではなくて「快手」です。
ただ、TikTokのグローバル展開がうまくいき、海外ではTikTokが人気です。
快手の事業と強み
登録されているユーザー数は8億人以上、毎日アップロードされるビデオコンテンツは平均1,000万件以上となっており、これは、中国のモバイルアプリケーションにおいて、WechatやQQ、Weibo等に次いで、トップ5に入るであろう圧倒的な数字となっています。
2020年9月時点のデイリー・アクティブ・ユーザー数(毎日1回以上アプリを利用する人)は約3億人となっています。
香港証券取引所に提出された目論見書によると、2020年上半期6ヶ月間の売上高は前年同期比48.3%増の253億人民元(約4,000億円)。
同社は2019年に391億人民元(約6,200億円)、2018年に203億人民元(約3,200億円)を収益計上しています。
快手は
動画のみではなく、ライブストリームのアプリとしてもかなり人気
であり、
視聴者から得られる投げ銭収入が最大の収益源
となっています。
投げ銭とは、ライブ動画の配信者がネット上で様々な芸を披露したり、人生相談を受けたりすることで、視聴者が感謝の気持ちとして任意で渡すお金のことです。
このお金は、快手のプラットフォーム上で一旦バーチャルアイテムに換えられ、視聴者が配信者にアイテムを贈った時(投げ銭が行われた時)に同社の売上高に計上されます。
ライブストリーミング事業は2020年の上半期に173億人民元(約2,740億円)の収益を上げており、同期間の同社の総収益の68.5%を占めています。
彼らの強みは、
独自のレコメンドアルゴリズムを使用したオススメ機能でユーザーをコンテンツに引き込み、その関心を、SNSへの関心へ昇華させること
にあると言えます。
「快手」はAIシステムにより、高質な動画を「発見」画面に配信して全国の人が見えるようにしています。
TikTokよりも人気? 中国ナンバーワンショット動画アプリ快手(Kuaishou)とはより
高質な作品さえあれば何十万のインプレッションが獲得でき、フォロワーも獲得できます。
彼らのサービスで特徴的なものの一つには、GPS情報などから自身の近くに居るユーザーの投稿したコンテンツを見つけられるサービスが挙げられ、それによってユーザーはより深くSNSへ入り込むとともに、コンテンツを投稿するユーザーも、より多くのフォロワーを獲得することが可能となっています。
【快手(Kuaishou)】7億のユーザーを抱えるショートビデオSNSを展開 :中国ユニコーンFile022より
快手の今後の戦略
とはいえ、ライブストリーミングの投げ銭のコミッション収入が依然として高くなっており、投げ銭とオンラインマーケティングに次ぐ第三の成長の柱をどうするかが課題になっています。
快手は2017年から始めた投資を2018年以降に活発化させ、現在すでにコーポレートサービスやAIなどの分野で30件近くの対外投資を行っています。
中でもAI(人工知能)、ゲーム、オンライン教育への投資が比較的集中しています。
例えば、AIの分野では、企業向けにビッグデータの解析・活用支援サービスを手がける「明略科技(マイニングランプ・テクノロジー)」や電子商取引に特化したAIソリューションプロバイダーの「知衣科技(ZHIYI TECH)」に投資しています。
教育分野では、2019年5月にK12(幼稚園年長から高校卒業まで)向けのオンライン教育プラットフォーム「精準学(Jingzhunxue)」、2020年4月に子供(3~10歳)向けのオンライン教育プラットフォーム「火花思維(Spark Education)」の出資を主導しています。
快手の株価について
上記した通り快手は香港市場に上場しているので株式を売買できます。

SBI証券で取り扱いがあるので、調べてみると良いでしょう。
まとめ:ショート動画アプリのその先
ということで、今日は「Kuaishou/快手」の企業分析をしてきました。
これから5Gの時代も来るということで、今後「動画」の重要性は高まっていくと思いますし、ライブ動画や動画コンテンツを見たその先の消費行動なども変わってきそうですね。
ぜひこの分野は注目したいところです。
それでは今日はこれで^^