企業分析

【Kite Pharma/カイトファーマ企業分析】MITテクノロジーレビューが選ぶ「賢い会社50」トップ10企業の事業について調べました⑦

こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。

先週から

MITテクノロジーレビューが選ぶ「賢い会社50」トップ10企業の企業分析

の連載を始めました。

最もスマートな会社のテクノロジーとビジネスモデル、事業内容

を今日も解説していきたいと思います。

今日は

ランキング7位・Kite Pharma/カイトファーマの企業分析

をしていきたいと思います。

革新的なテクノロジーやビジネスモデルを持つ企業トップ10

トップ10の企業名と事業内容は以下の通りです。

 

企業名 事業内容
1 NVIDIA (米) 半導体の製造開発
2 Space X (米) ロケット開発
3 Amazon (米) EC・クラウドサービスの提供
4 23andMe (米) 遺伝子検査の実施・レポート販売
5 Alphabet (米) 検索エンジン・クラウドコンピューティング
6 iFlytek (中) 音声認識システムの開発
7 Kite Pharma (米) バイオ医薬品の研究開発
8 Tencent (中) メッセージアプリ・オンラインゲーム開発
9 Regeneron (米) バイオ医薬品の研究開発
10 Spark Therapeutics (米) バイオ医薬品の研究開発

Kite Pharma/カイトファーマ

カイトファーマってどんな会社?

カイトファーマは「バイオ医薬品の研究開発」を行っている会社です。

2009年、イスラエル生まれのアメリカ人アリエ・ベルエクランによって設立

されました。

がんの治療薬を作っている会社です。

また、

2017年に世界第2位の大手バイオ製薬会社ギリアド・サイエンシズに119億ドルで買収

されたニュースは記憶に新しいかもしれません。

バイオ医療品市場

世界のバイオ医療品市場は拡大しています。

世界の医療品市場が拡大する中で、年々バイオ医薬品の売り上げは増加しており、
2016年には約2,012億ドル(バイオ医薬品比率31.5%,抗体医薬品891億ドル)に達し、今後も2022年には約3,249億ドル(バイオ医薬品比率37.5%、抗体医薬品1,728億ドル)に達する、と売上の増加が予測されている。
バイオ医薬品市場の最も大きな市場はアメリカであるが、日本市場においても拡大しており、2016年には約1腸4,219億円(バイオ医薬品比率13.6%、抗体医薬品8,943億円)となっている。
バイオ医薬産業の課題と更なる発展に向けた提言:医薬産業政策研究所リサーチペーパーズ シリーズより

また、開発されている薬の数も増えています。

今後のバイオ医薬品市場の拡大の予測の根拠には、開発品目の増加が挙げられる。
開発中の抗体医薬品の増加に伴い対象疾患の拡大が見られ、標的分子数も承認された品目は41であるのに対し開発中の品目では232と増えている。
バイオ医薬産業の課題と更なる発展に向けた提言:医薬産業政策研究所リサーチペーパーズ シリーズより

これからもバイオ医薬品市場は伸びていくことが予想できるでしょう。

カイト・ファーマが開発・発売する薬とその強み

カイト・ファーマが研究開発している薬は「がん治療薬」です。

一部のリンパ腫向けのキメラ抗原受容体T細胞(CAR―T)療法として知られる有望ながん治療薬「イエスカータ」を作っています。


イエスカータ公式サイトより)

キメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T-cell:CAR-T)治療は、患者から採取したT細胞(免疫細胞)に特定のがんを殺せるようにする遺伝子改変技術を施した後体内に戻す治療で、がんに対する遺伝子・免疫治療です。

CAR-T治療の奏効率*は極めて高く、50%を超えることも珍しくなく、80%から90%超の報告もあります。しかも、効果は長い時間持続します。

*奏効率:あるがん治療法を患者に用いた際、その治療を実施した後にがん細胞が縮小もしくは消滅した患者の割合を示したもの
現役アメリカ内科専門医がお届けする最先端治療と市場シリーズ:CAR-T治療:Dr.医療株より

2017年にこの「CAR-T治療」がアメリカの米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)から承認されたため、

がん治療の領域は非常に大きな進歩を遂げました。

カイト・ファーマのこの治療法は、

がん患者の免疫細胞の遺伝子に手を加えてがん細胞への攻撃能力を高める治療法

で、治療につなげる新しい治療法の開発で先行をしています。

ギリアド・サイエンシズによる買収

上記したように、

2017年にカイト・ファーマは大手バイオ製薬会社のギリアドサイエンシズに買収されています。

ギリアド・サイエンシズは

HIV、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザといった感染症治療のための抗ウイルス剤開発

を事業の中心としています。

しかし、近年売り上げの柱であるC型肝炎治療薬の販売が減速しています。


世界1位の「バイオ製薬会社」に飛躍したギリアド・サイエンシズの行方:センサー201807号より)

そこでこの減速を補う新事業として、がん領域に着目し、事業買収を通じ新薬候補の拡充を急いでいます。


世界1位の「バイオ製薬会社」に飛躍したギリアド・サイエンシズの行方:センサー201807号より)

そこで2017年に買収されたのがカイト・ファーマです。

新事業の取得と、拡大によって

ギリアドサイエンシズは業績が戻ることと市場シェア拡大を狙っています。

カイト・ファーマの今後の戦略

CAR-T治療の価格は、

・キムリア(Kymriah):475,000ドル(約5,000万円)
・イエスカータ(Yescarta):373,000ドル(約4,000万円)

という驚くべきものです。

CAR-T治療は、非常に高価であるため、他の治療が効かなかった場合の最後の砦として使用されます。

そのため、CAR-T治療が使用される患者さんの数はそれほど多くはありません。

現役アメリカ内科専門医がお届けする最先端治療と市場シリーズ:CAR-T治療:Dr.医療株より

と、CAR=T治療の市場自体はまだまだ大きくありませんし

その治療薬の値段の高さゆえに、コスト削減と細胞製造法の改良が必須です。

患者自身のT細胞を原料とするため、在庫があっていつでも使える(オフ・ザ・シェルフ)ような通常の薬剤とは異なります。

今後、患者自身のT細胞を原料とする現在のCAR-T治療ではなく、在庫があっていつでも使えるように、他人のT細胞を原料とするオフ・ザ・シェルフのCAR-T治療が市場に出ることにより、安価で、汎用性の高いCAR-T治療が実現することが期待されます。
現役アメリカ内科専門医がお届けする最先端治療と市場シリーズ:CAR-T治療:Dr.医療株より

 

とはいえ、バイオ医薬品の市場は拡大する見込みですし、
がん治療で先駆けた研究と開発ができているカイト・ファーマは
これから成長が望める企業ということができるでしょう。

カイトファーマ/ギリアドサイエンシズの株価

カイトファーマはギリアドサイエンシズに買収されたので上場しておりません。

しかし、ギリアドサイエンシズはニューヨーク市場・ナスダックに上場しています。

バイオ医薬品の企業は
国に認可されたニュースや、治験の結果によって株価が左右されやすく
初心者にはあまりオススメできない銘柄ではあります。

しかし、未来の成長や今後の医療を変えてくれる研究に投資するのは
一つの株式投資の形でもあるとは思います。

まとめ:バイオ医薬品企業はこれから

ということで
今日はバイオ医薬品の研究開発をする「カイト・ファーマ」の企業分析をしてきました。

医療についてはまったく知識のない私ではありますが
こういう研究をして世の中を変えようとしている会社は応援したくなりますね。

それでは今日はこれで^^