企業分析

JUUL Labs/ジュールラボの企業分析【ユニコーン企業の強み・ビジネスモデルを徹底解説】

こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。

この記事では「企業分析」をしていきたいと思います。

ツナモンスター
ツナモンスター
最近はタバコの煙が嫌がられるから、
煙の出るタバコを吸っている人が減っているって聞いたよ。
日本では加熱式タバコのアイコスが人気だけど、
アメリカは違うみたいだね。
そこんとこ教えて!

タバコはいつの時代も人々の嗜好品として受け入れられていますが、街では禁煙の流れが広がっていますね。

そんな中、アメリカでは「電子タバコ」が人気となっています。

その「電子タバコ」の販売を行い、急成長しているのが「JUUL Labs(ジュールラボ)」です。

今日は、

アメリカ・JUUL Labs

の企業分析を行い、

  • JUUL Labsの事業
  • JUUL Labsの強み
  • JUUL Labsの今後の戦略

を明らかにしていきたいと思います。

JUUL Labsってどんな会社?

JUUL Labsは、

電子タバコ

を作っている会社です。

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JUUL
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JUUL LABS公式サイトより)

2017年に、ジェームス・モンシーズ、 アダム・ボウウェンによって設立されました。

日本でも燃焼式のタバコではないタバコを吸っている人が増えてきていますね。

タバコといえば、燃焼式タバコである、火をつけて吸うものを浮かべる人も多いかと思いますが、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコは、従来型のタバコ(燃焼式タバコ)とは異なる新しいタバコです。

  • 葉タバコを加熱することによりニコチン含有エアロゾルを発生させて吸引するタイプ・・・非燃焼・加熱式タバコ
  • 液体(ニコチンを含むもの、あるいは含まないもの) を加熱してエアロゾルを発生させて吸引するタイプ・・・電子タバコ

日本ですと、加熱式タバコであるフィリップモリスの「アイコス」が人気ですが、アメリカですと、このジュールラボが販売する電子タバコ「JUUL/ジュール」が人気です。

電子タバコ市場について

電子タバコの利用者は毎年伸び続けています。


増える電子たばこ需要、5つの表で見るより)

世界全体の喫煙者数は2000年以降、わずかながら一定のペースで減少していており、2000年の11億4,000万人から、現在は11億人になっている一方、電子タバコの利用者は伸び続けているということになります。


「Tobacco Control」オンライン版より)

アメリカでの電子タバコの売上高も毎年伸び続けており、またその伸び率はJUULが勢いを増しています。

2018年9月時点では、72%の市場シェアを獲得しています。

JUUL Labsの事業と強み

JUULのリキッドには、ニコチンに代わり「ニコチンソルト(ニコチン本来の成分に近い物資を含む塩基)」が使用されています。

紙巻きタバコを吸っていた人でも満足できる吸い心地と話題で、従来のニコチン入りリキッドを上回る吸い応えを覚えるユーザーも増加中です。

また、紙巻きタバコのデメリットである「タール」が使われていないため、健康志向の人に人気が高い電子タバコとなっています。

米国には紙巻たばこしか選択肢がない状態で、大手が加熱式たばこ許認可で足踏みしている間に、軽視していた電子たばこ市場でJUULがシェアを加速度的に拡大させました。

JUULのマーケティング戦略は秀逸で、TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSを駆使し、ネット・キャンペーンを展開してシェアを増やしてきました。

そのため、JULLは若者に人気になりました。

また、その成長力もあり、ユニコーン企業の中でも特に価値の高い「デカコーン(企業価値が100億ドル以上(およそ1兆1000億円))」になるまでの時間も他の企業に比べ短い時間で達成しています。

タバコ製造大手企業であるマルボロの製造者であるアルタリアからの128億ドルの投資も受けており、JUUL Labsに寄せる期待は年々大きくなっている、と言えるでしょう。

JUUL Labsの今後の戦略

電子タバコの市場は主に「アメリカ・ヨーロッパ・日本」となっており、最大の市場のアメリカで72%の市場を抱えているJUUL Labsは、電子タバコ市場において一強と言ってもいい状況となったかもしれませんが、

現状、電子タバコについてはアメリカの米国食品医薬局(FDA)により厳しい条例が承認される結果となっています。

2019年6月25日、サンフランシスコ市は「電子タバコの販売や配達などを禁止する」条例を承認しました。

米国初となるこの条例は、このあと市長が条例に署名すれば、7か月後に発効し、少なくとも米国食品医薬局(FDA)によって健康への影響がないと確認されなければ、撤廃されることはありません。

現状、JUULはフレーバー付きの電子タバコ(マンゴー、クリーム、フルーツ、キュウリ)の米国での販売を中止し、米国食品医薬品局の審査を待ちの状態です。

米国時間10月18日以降、たばことミント、メントール味のフレーバーのみを米国内で販売しています。

今後、全ての商品が販売禁止という結果になれば、JUULの業績は下がることが予想されます。

また、電子タバコが原因の可能性の初の死者もアメリカでは出ています。

こう言った流れはジュールにとってはマイナスです。

一方で、ジュールは海外進出を試みており、直近ですと韓国への進出を手続き中です。

また、2018年のアルトリアからの出資を受けたため、アルトリアの販売網などを使い、顧客に非常に近い場所での販売も可能となっています。

とはいえ、タバコという商品性と、アメリカでのFDAの対応もあるため、海外進出や販路拡大をしたからと言ってこれまでの加速度的な成長が続くかどうかは疑問かなと思います。

まとめ:マイクロ企業が大企業に勝つ時代

ということで、今日は「ジュールラボ」について企業分析をしてきました。

タバコ業界は広告の規制があるために従来はすでに市場を獲得している大企業が勝ち続けるという構図でしたが、電子タバコという分野でSNSなどを駆使し大きくなった企業があるというのはなかなか面白い事例でしたね。

それでは今日はこれで^^