こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
この記事では「企業分析」をしていきます。
東南アジアではGrabっていう会社のアプリが、タクシーも呼べて、ご飯の宅配も頼めるみたいで便利みたい!
どんなことをやっているか教えて!
今日は、
シンガポール・Grab
の企業分析をし、
- Grabの事業内容
- Grabの強み
- Grabの今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
Grabってどんな会社?
Grabは、
配車アプリの運営
をしている会社です。
2012年に、アンソニー・タン、 タン・ホーイ・リングにより設立されました。
日本に進出しているUberやDiDiを聞いたことがある人は多いと思いますが、
Grabは東南アジアを中心に利用されている配車アプリです。

現在8ヶ国、336都市、1.5億人が使っているサービスとなっています。
現在Grabはユニコーン企業であり、その企業価値は153億円に登っています。
ライドシェア市場について
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 後、世界のライドシェア市場規模は、2020年の753億9,000万米ドルと見込まれています。

2021年には1,173億4000万米ドルに達し、2020年から2021年までCAGR55.6%の成長が予測されています。
ただし、2021年は、COVID-19以前の予測と比較して2%の減少が見込まれています。
ライドシェアにおいてはアメリカのUberが先駆けで、アメリカ・Lyft、東南アジアを中心とするGrab、中国を中心とするDiDiが追随しています。
海外では欧米だけではなくアジアや中東諸国などでもサービス事業者が続々と誕生し、アプリ間でのユーザー獲得競争が加速しています。
大型の資金調達を果たすスタートアップ企業も多いです。
日本においてライドシェアは法的な問題からコストシェア型や地域運行型などに限られています。
Grabの強み
Grabの強みは、
一貫したプラットフォーム
です。
ユーザーは1つのアプリを立ち上げるだけで、配車サービスからQR決済までGrabのあらゆるサービスを利用できます。

2017年にはシンガポールで電子決済事業の「GrabPay」を開始。
2018年には、Grab最大のライバルだった米系配車サービスの「Uber」が東南アジア事業からの撤退を表明。
Grabは、同社から「Uber Eats(ウーバー・イーツ)」事業を引き継ぎ、フードデリバリー「Grab food」にも乗り出しました。
Grabの進出国はマレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジアに広がり、宅配事業のGrabデリバリーなど事業範囲も拡大しています。
これらのサービスが「Grabのアプリ1つ」から利用することができます。
また、フィンテック系サービスにおいても積極的な展開を見せていることも強みとなっています。
2017年にリリースされたGrabPayでは、Grab系サービスでの支払いはもちろんですが、2017年12月からはユーザー間での送金も可能になりました。
今後は保険事業も拡大していく予定ですが、Grabはすでにバイクのライドシェアを提供するGrabbikeのドライバーと乗客を対象に無料の保険を提供しています。
シェアリングエコノミーにおいては保険への加入がドライバーの責任になることが従来から問題となっていましたが、とりわけ東南アジアで主要な移動手段であるバイクに不可欠なサポートとして、Grabはその実績を積んできています。
また、「二輪車をいち早く導入した」という点も「UberとGrabの違い」でよく挙げられます。
東南アジアの首都周辺は慢性的な渋滞が問題となっています。
そのため、二輪車が主要な通勤手段として使われており、GrabBikeという二輪車のライドシェアリングサービスが他社との差別化になりました。
また、「現金での支払いも可能」がサービス展開当初から可能であったこともUberとGrabとの違いです。(現在では、Uberも現金払いできます)
東南アジアでは、銀行口座を持っている人は27%、クレジットカードを持っている大人はたったの9%とも言われており、地域全体としてはいまだに現金決済が主流です。
地域に合わせた戦略の設計ができていることがGrabが急成長した理由となっています。
Grabの今後の戦略
Grabはライドシェアリング企業から総合テクノロジー企業に変貌を遂げようとしています。
GrabPayとGrabFoodのプロモーションコードは頻繁に発行されていますし、今年に入りZhongAn Insurance(衆安保険)、オンデマンドビデオを提供するHOOQと提携を発表し、他分野での事業展開を加速しています。
ZhongAn Insurance(衆安保険)と言えば、フィンテック技術を活用した小口保険で有名な企業で、スマホから簡単に旅行保険やEコマース注文時の返品に伴う送料の保険などで有名な会社です。
中国でアントフィナンシャルが展開するスーパーアプリ「アリペイ」を活用して大成功した企業としても有名です。
今後、東南アジアでもGrabアプリを活用して、中国で成功したユニークな小口保険商品の販売戦略を展開していく可能性が高いと言われています。
また1月28日、Grabは同じくシンガポールを拠点とするHOOQ (NetFlixのようなオンデマンドによるビデオ配信事業)と提携し、ハリウッド映画、スポーツ番組、人気のローカル番組、HOOQの無料チャンネルなど1万時間以上のコンテンツ配信を行うと発表しました。
HOOQは、シンガポールの通信会社であるSingtelやソニーピクチャーズエンターテイメント、Warner Brothersなどを株主として2015年にシンガポールに設立された会社であり、東南アジア市場でNetFlixのようなオンデマンド形式の動画配信サービスを展開している企業です。
今後、Grabのアプリ経由でオンデマンド動画配信が見られ、ユーザーはGrabのアプリ滞在時間が増加することになるでしょう。
まとめ:配車アプリからプラットフォームの提供へ
ということで、今日は「グラブの企業分析」をしてきました。
ユニコーン企業や最近成長している会社の共通のキーワードは「プラットフォームの提供」であることが多いですね。
消費者の私たちからすれば「全てのことが1つで済む」というのは確かに大きなメリットであると思います。
そして、企業側からすれば「ビッグデータ」を手に入れることができて、それを元にまた新しいサービスを提供できる。
なんともわかりやすい仕組みだなあと思います。
日本にはこのようなアプリはまだ無いと思うので、この辺りも世界と日本の差だなと思いました。
それでは今日はこれで^^
