こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
今日は「企業分析」をしていきたいと思います。
なんだか、「貧困の撲滅」に一助している取り組みで、日本でも行っている会社があるんだって。
「五常・アンド・カンパニー」っていうらしいんだけど、どんな取り組みをしているのかな。
詳しく教えて!
ということで今日は、
日本・五常・アンド・カンパニー
の企業分析をし、
- 五常・アンド・カンパニーの事業内容
- 五常・アンド・カンパニーの強み
- 五常・アンド・カンパニーの今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
五常・アンド・カンパニーってどんな会社?
五常・アンド・カンパニーは、日本の
フィンテック企業
です。
現在、カンボジア・スリランカ・ミャンマー・インドの4カ国で、マイクロファイナンス事業を営むグループ会社を通じて30万人以上の主に女性の個人事業主に金融サービスを提供しています。
「全ての人に金融アクセスを」という理念を掲げており、2030年までに民間版の世界銀行をつくり、ほぼ全ての途上国で1億人以上に金融アクセスを提供し、金融アクセスを人類にとって当たり前のものにすることが同社のミッションです。
その技術力や成長力が評価され、現在の企業価値は「337億円」と言われ、日本経済新聞社の「NEXTユニコーン調査」で企業価値を算出した181社のうち、フィンテック企業の14社の中にランクインしています。

マイクロファイナンスの市場について
マイクロファイナンスとは、
貧しい人々向けに小口の融資や貯蓄などの金融サービスを提供すること
のことをいいます。
POSOTIVE PLANET JAPANによれば、今日の世界では、30億人の人びとが預貯金、融資、保険、送金といった基本的な金融サービスを享受することができていません。
これでは、将来の生活をよりよくするために貯蓄することも、家計をやりくりするためのローンを組むことも、家族の将来の生活を保障することもできません。
このような状況のもと、30年間近くの間、多くの団体が貯蓄、融資、保険サービスを享受できない人びとを支援する努力を続けてきました。
1970年代より勃興したこの業界は、2006年にグラミン銀行のムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞したことを契機に大きな注目が集まるようになりました。
「グラミン銀行」は、1983年にムハマド・ユヌス氏が、アジアの最貧国といわれるバングラディシュにて創設。
「小農にお金を貸せば貸し倒れになる」という従来の考えを覆す手法を打ち出し、貧困にあえぐ小農の人々を困窮状態から脱出させたムハマド・ユヌスは、後の2006年にノーベル平和賞受賞を受賞しました。
グラミン銀行の成功を受けて世界中で同じ様なマイクロクレジット機関が設立され、貧困層への融資が積極的に行われるようになったことで、マイクロクレジットは世界に普及したのです。
そのため、マイクロクレジットの残高は、2000年以降急激なスピードで成長してきています。
特に、グループレンディングを主軸にするマイクロクレジット事業は世界中で大きな成功を収めました。
資本市場からの注目度も高く、この10年強の間に複数のマイクロファイナンス機関がロンドンやインドの証券市場に株式上場を果たしました。
そのような中、五常・アンド・カンパニーは、業界の成功の裏で未だに解決すべき課題が取り残されている点に着目し、2014年7月に創業されました。
(民間版の世界銀行を目指す五常・アンド・カンパニー、42.2億円のシリーズC資金調達を完了:PR TIMESより)
2019年11月には、大和証券グループ本社がミャンマーでマイクロファイナンス事業に参入すると報じられており、日本においても、マイクロファイナンスが注目される流れがきています。
五常・アンド・カンパニーの事業内容・強み・ビジネスモデル
五常・アンド・カンパニーは、マイクロファイナンス機関の子会社化とターンアラウンド、スリランカでの新会社設立、ミャンマーでのJV設立という異なる形態で事業を立ち上げ、事業は成長し、現在ではアジア4カ国でマイクロクレジットを中心とした金融サービスを提供しています。
2014年7月の創業来、30日以上延滞率は1%未満と貸付債権の質を維持しながら、年率200%以上のペースで事業を成長させてきました。
2019年4月から6月の四半期連結売上は10億円、同年9月末時点の顧客数は45万人、グループ全体の従業員数は2,500名を超えました。
(民間版の世界銀行を目指す五常・アンド・カンパニー、42.2億円のシリーズC資金調達を完了:PR TIMESより)
五常・アンド・カンパニーの一番の強みは、
世界のどの途上国でも金融事業を立ち上げられること
です。
現場をよく分かっている現地経営陣と信頼関係を結びつつ、「問題を問題と認め、その問題解決をすぐやる・必ずやる・出来るまでやる」という経営の基本OSをインストールします。
共同創業者の慎とSanjay Gandhiは10年以上の業界経験があり、世界中の人的ネットワークやファイナンシャルアドバイザーからの紹介、持ち込み案件数も増加しており、月に数件の新規案件の検討が進められています。
今後は、グローバルに事業を展開するマイクロファイナンス投資ファンドからの紹介案件も増えることが想定されます。
五常・アンド・カンパニーの今後の戦略
五常・アンド・カンパニーは、マイクロファイナンス機関を新規設立もしくは資本参加によってグループ企業を拡大しており、今後数年はインドネシアやフィリピンをはじめとするアジア市場での事業展開を計画しています。
アジア市場の次は東欧やアフリカ、ラテンアメリカへの進出も視野に入れています。
(民間版の世界銀行を目指す五常・アンド・カンパニー、42.2億円のシリーズC資金調達を完了:PR TIMESより)
事業の成長資金について、資本は主に日本の個人及び機関投資家から調達しており、また、日本国内の金融機関からの借入れの実績があります。
グループ会社では地場金融機関や社会的インパクトファンドなど、合計50以上のレンダーから150億円以上を借入れており、今後は借入コストを引き下げるためにも、より積極的に日本国内の金融機関との取引を増やす方針だそうです。
また、現時点で45万人の顧客の返済履歴、ベースラインデータ、家計情報を収集しており、
今後は、より精度の高いクレジットスコアリングモデルの開発をはじめ、新興国の低・中間所得者層の顧客データベースを保有する強みを生かした事業の展開をする予定です。
(民間版の世界銀行を目指す五常・アンド・カンパニー、42.2億円のシリーズC資金調達を完了:PR TIMESより)
まとめ
ということで、今日は「五常・アンド・カンパニー」の企業分析を行ってきました。
マイクロファイナンスということばはまだまだ日本では認知されていない言葉かもしれませんが、その取り組みはとても素晴らしく、ぜひこの流れが日本でも大きくなって欲しいなと思っています。
それでは今日はこれで^^