企業分析

D-waveの企業分析 【強み・ビジネスモデルを徹底分析】

D-wave社の開発している精密機械の写真

こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。

今日は「企業分析」をしていきたいと思います。

ツナモンスター
ツナモンスター
最近、「量子コンピュータ」っていう言葉をよく聞くよね。
処理が早くできるとかなんとか・・・。

カナダの「D-wave」って会社が量子コンピュータでは注目されているって聞いたけど
どんなことに注目されて、強みがある会社なんだろう?

詳しく教えて!

ということで今日は、

カナダ・D-wave

の企業分析をし、

  • D-waveの事業内容
  • D-waveの強み
  • D-waveの今後の戦略

を明らかにしていきたいと思います。

D-waveってどんな会社?

D-waveは、カナダの

商用量子コンピューター会社

です。


D-wave公式サイトより)

グーグルやNASAを顧客にもつ、世界初の「商用量子コンピューター」企業であるD-Waveは今、世界で注目される企業の1つです。

1999年、ジョーディー・ローズによって設立されました。

量子コンピュータ業界について

みなさん「量子コンピュータ」といきなり言われても、「今使っているコンピュータと何が違うの?」と思われているかも知れません。

まずは、見た目が全く違います。

これがD-waveの量子コンピュータです。

さて、量子コンピュータとは、

量子力学の原理を利用して計算を行う次世代コンピューター

のことです。

まだまだわかりにくいですね。

そもそも「量子」とは何なのか。

量子の「量」は「エネルギーやスピンの量」という意味で、「子」は「最小単位」という意味です(スピンは素粒子がもっている回転の性質)。

つまり、量子とは、

エネルギーやスピンといった物理量に最小単位がある、いいかえると「デジタルになっている」

ということを意味します。

そして重要なのが、

量子は、単にデジタルになっているだけでなく、量子は「粒子」であると同時に「波」でもあるという、変な性格をしている

ということです。

これが何を意味するかというと、

砂粒やビーズのような粒子は、1ヵ所に1粒しか存在できないから、重ね合わせはできない。
一方、海や川の波は、1ヵ所に複数の波が存在できるから、重ね合わせができる

また、粒子は互いにすり抜けることができずにぶつかってしまうが、波はぶつからずに通り抜けることができる

ダンプカーがレンガ塀に突っ込んでいったら、たいていはぶつかって大破してしまうが、ダンプカーもレンガも、細かくみていくと量子からできているので、実は、ほんのちょっとだけ波の性質をもっている。
だから、ダンプカーがレンガ塀をすり抜ける確率はゼロではない(これを「トンネル効果」と呼んでいる)。

こういった、量子が持っている重ね合わせやトンネル効果といった不思議な性質を駆使して計算するのが量子コンピュータなのである。

量子コンピュータとスーパーコンピュータの関係:計算化学の世界より

ということです。

これによってどんな違いが起こるかというと、従来のコンピュータはシリコンなどを材料にトランジスタを組み込んだ電子回路を作り、「0」と「1」の2種類の信号を切り替えたり組み合わせたりして動いています。

量子コンピュータも従来のコンピュータ同様に、信号を活用して計算処理を行いますが、電子回路の材料や、処理方法が異なり、材料は、ニオブ(Nb、耐熱合金に使われる金属の超電導体)などを使用しており、「0」と「1」が同時に存在する「00」「01」「10」「11」といった「重ね合わせ」状態の信号を作り計算処理を行います。

よって、従来のコンピュータにとって因数分解のような計算は、計算可能ではあるけれどとてつもなく時間がかかるものの、量子コンピュータは「0と1」だけではない理論と方法を用いることで、因数分解を実用的な速さで行う新しいコンピュータとしての可能性を示したのです。


量子コンピュータの動向:野村総合研究所より)

そして、コンピューティング技術では昨今、人工知能(AI)開発の急速な進展に伴いこの「量子コンピュータ」が注目され、さまざまな場面で取り上げられています。

量子コンピュータへの関心が再び高まった理由の1つは、

AIで活用される機械学習「ディープラーニング」の性能を向上させる可能性があるから

です。

さらに、商用の量子コンピュータが登場したことも大きいと言われており、Amazonを創業したジェフ・ベゾズ氏やゴールドマン・サックスも投資するなど関心も高いです。

その商用量子コンピュータを世界で初めて開発したのが「D-wave」です。

量子コンピュータは大きく分けて2種類あります。

  • 同時にいくつもの計算を重ね合わせてやってしまう量子ゲート(量子回路)型
  • トンネル効果を使って最適化をする量子アニーリング(量子焼き鈍し)型

の2つです。

このうち、量子アニーリング型の量子コンピュータの原理は、日本の西森秀稔と門脇正史が1998年に発見し、カナダのD-wave社が実用化し、Google社、NASA、ロッキード・マーチン社などが相次いで導入して話題になったのです。

この型の量子コンピュータは、最適化問題を解くのに使うことができ、自動運転のためのカーナビ、薬の開発に必要な分子の構造解析、人工知能の機械学習のためのサンプリングなどに力を発揮すると考えられています。

また、その計算速度は現行のパソコンのなんと「1億倍」という計算速度を誇っており、

その理由から、AIで活用される機械学習「ディープラーニング」の性能を向上させる可能性があると期待されているのです。

量子ゲート型はまだ実用化されていませんが、IBM社、Google社、Microsoft社、Intel社、Rigetti Computing社が開発に取り組んでいます。

ちなみに昨今話題になった、今日の暗号化技術を破る能力を備えているといわれているのは量子ゲート型の量子コンピュータのことです。

D-waveの取り組みと強み

この計算技術を実装したハードウェアを開発したのがD-wave systemsです。

2011年、世界初の商用アニーリングマシンとして、128量子ビットを搭載した「D-Wave One」の販売を開始。

以降、2年毎にアップグレード版が出されており、2017年1月に発表された「D-Wave 2000Q」は 2,000 量子ビットを搭載しています。

2018年10月には、D-Wave 2000Qにクラウド上でアクセスできる「Leap」サービスをアメリカおよびカナダ限定で開始しました。

2019年3月には、同社の量子コンピューター「D-WAVE 2000Q」にアクセスできるクラウドサービス「Leap」を、日本を含む33カ国で利用可能にすると発表。

D-waveのシステムを多数の開発者に開放し、新たなソフトウェアアプリケーションの開発等を奨励することで、そのエコシステムを拡大することを狙いとしています。

また、直近では、D-Wave社は2019年2月末、5,000以上の量子ビットを搭載予定の次世代機「Advantage」を20年半ばに出荷する計画を発表しています。

次世代機では、プロセッサに用いられている量子ビット間の結合数を、DWave 2000Qの6から15に増やすことで、より大規模で複雑な最適化問題を少数の量子ビットで解けるようになるといいます。

このような技術が評価され、NASA、Google、ロッキードマーチンなどの大企業がD-waveの量子コンピュータを採用しています。

導入事例はこちらから確認できます。

▶︎ 導入事例:D-wave公式サイト(日本語)

D-waveの今後の戦略

D-waveは量子コンピュータの開発を始めて17-18年経っていますが、いまだに利益も出せていなくて、株式の上場もしていません。

しかし、政府からの直接的な援助を貰わず、独自に開発を行ってきており、今までに機関投資家によるプライベートファンドにより、200億円ほどの資金を集めたそうです。

例えば、Amazonの創始者のジェフ・ベゾス氏やゴールドマンサックスが投資しているそうです。

長期的な投資にはなりますが、近年は量子コンピュータへの注目もあり、これから更なる技術の向上と、導入企業の増加が見込まれています。

まとめ

ということで、今日は「D-waveの企業分析」を行ってきました。

私も「量子コンピュータ」について調べたときは、「???」が浮かびましたが、調べてみるとすごい技術で、これからの技術開発が楽しみになりました。

ぜひ「量子コンピュータ」分野はこれからも注目していきたいと思います。

それでは今日はこれで^^