こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
今日も「企業分析」をしていきたいと思います。
それぞれどんな特徴があって、どんな強みがあるんだろう?
今日は「CNPC」っていう会社について詳しく教えてよ!
新セブンシスターズの一社でもある「中国石油天然気集団公司/CNPC」。
今日は、
中国・中国石油天然気集団公司/CNPC
の企業分析をし、
- 中国石油天然気集団公司/CNPCの事業内容
- 中国石油天然気集団公司/CNPC強み
- 中国石油天然気集団公司/CNPCの今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
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CNPCってどんな会社?
CNPCは
原油・天然ガスの生産と供給、および石油化学工業製品の生産・販売において中国最大の規模を誇る会社
です。

中華人民共和国の国有企業の1つです。
「中国石油天然気(ペトロチャイナ)」は主要な子会社です。
事業再構築の過程で、中国国内の資産や事業のほとんどをペトロチャイナに分割・民営化しています。
ペトロチャイナの事業の中核を担う大慶油田(黒竜江省)を中心に原油の生産を行うほか、新疆ウイグル自治区や四川省で油田、天然ガスの探査・開発を実施しており、また、グループ全体で石油精製、流通、石油化学製品の製造販売を手がけています。
海外、特にアフリカに進出し、スーダンなどでの大量の石油の買い付けで有名です。
先日企業分析した「中国石油化工集団公司」と漢字が似ています。
「中国石油化工集団公司」→シノペックグループ
「中国石油天然気集団公司」→CNPC
両者とも国有企業で石油エネルギー会社ではありますが、別の会社です。
成り立ちやそれぞれの強みは後ほど解説していきます。
中国石油天然気集団公司はフォーチューングローバル500の総売上トップ10にランクインしています。
順位 | 企業名 | 国 | 総売上 |
1 | ウォルマート | アメリカ | 56兆641億円 |
2 | 中国石油化工集団(シノペック) | 中国 | 43兆5,499億円 |
3 | 国家電網公司(ステートグリッド) | 中国 | 41兆779億円 |
4 | 中国石油天然気集団公司 | 中国 | 40兆5,669億円 |
5 | ロイヤルダッチシェル | オランダ | 37兆6,753億円 |
6 | サウジアラムコ | サウジアラビア | 35兆2,868億円 |
7 | フォルクスワーゲン | ドイツ | 30兆2,553億円 |
8 | BP | イギリス | 30兆2,399億円 |
9 | Amazon.com | アメリカ | 30兆158億円 |
10 | トヨタ自動車 | 日本 | 29兆4,558億円 |
石油・エネルギー市場について
世界の石油需要はここ数年下がり続けています。
また、国際的な原油価格は、リーマン・ショックの影響により2009年前後に一時的な急落を見せたものの、2004年以降は一貫して上昇基調にありました。
しかし、2014年後半以降、原油価格は大幅な下落に転じます。
理由は、
- 中国などの新興国の成長率減速などによる需要の伸び悩み
- 米国での大幅なシェールオイル増産
- 石油輸出国機構(OPEC)をはじめとする主要産油国の高水準生産
など、全世界的な供給過剰感が背景と言われています。
原油価格の低迷は、世界中の石油・天然ガス開発企業に大きな打撃を与えました。
「スーパーメジャー」と呼ばれる世界を代表する5社(ExxonMobil、Shell、BP、Chevron、Total)の石油・天然ガス開発企業においても、2016年の純利益は2014年比で約76%、投資額は約37%減少しています。
2000年前後はアジア通貨危機やOPECの合意などにより原油価格が急落するなど、市場環境や事業環境においても大きな転換点がありました。
米国の代表的な株価指数であるS&P500が1985年から2000年にかけて7倍強に拡大するなど、株式市場が著しく発達し、成熟産業とみなされていた石油産業は、株主からより強い圧力に晒され、利益率向上のための経営合理化を迫られました。
こうした背景から、オイルメジャーは2000年前後に大規模な再編期を迎えることとなります。
そして、ヨーロッパやオーストラリアにおけるガソリン車の販売禁止が今後予定されていたり、石油製品の需要が減少に転じたりしていることから、これらの地域においては、従来の精製設備では効率的に供給することができなくなるという需給のミスマッチが顕在化しています。

そのため、オイルメジャーでは、需要減少が見込まれる先進国地域での下流事業、特に石油精製事業を縮小し、今後の経済成長に伴う需要増加が見込まれるアジア地域等へ資本の移転を進め、石油製品のトレーディングを通じて全体の需給バランスを最適化することにより、収益の最大化を追求する対応を進めています。
こうした先進国地域における企業とは別に、これまで上流分野での国外投資に積極的であった中国の国営石油企業においても、下流分野での国外進出、とりわけ、今後成長が見込まれるミャンマー、カンボジア、シンガポールなどアジア地域における製油所の取得等の投資が進められています。
また、シノペックがサウジアラビア等においてサウジアラムコとの合弁による製油所を新設し、ペトロチャイナがイギリスやフランスなどにおいて製油所を取得するなど、アジア地域以外への進出の動きも見られます。
こうした動きを通じて、世界規模で最適な石油供給ネットワークを構築しようとする取組が進められています。
CNPCの強み

さきほど、CNPCは国営企業であるとお伝えしましたが、前身は、
1995年に成立した中華人民共和国の石油工業部(石油工業省)
です。
この「石油工業部」が、石油工業部は同年、新疆ウイグル自治区・ジュンガル盆地でカラマイ油田(ジュンガル油田)を発見したことを皮切りに1950年代末から1960年代初頭にかけて巨大油田の採掘に成功します。
石油工業部自体の国営企業への分割が進み、石油産業の川上(石油採掘)と川下(石油精製および石油製品製造、その流通)は分業され、川上を「中国石油天然気総公司」、川下を「中国石油化工総公司」が担っていました。
その後、世界で戦える産油企業・石油化学企業への戦略的再編を目指して中国石油化工総公司と中国石油天然気総公司は共に事業再編のために、川下と川上の垂直統合を行い、石油探査から加工までを一貫して行う二つの特大企業グループとして再編、
中国石油化工集団公司(シノペック)および中国石油天然気集団公司 (CNPC)
が生まれました。
メジャーズや産油国が評価するCNPCの強みとして
「資金力、マンパワーによる機動力・コスト 削減力、豊富な操業実績やリスク許容度」
が挙げられます。
また、石油天然ガス需要創出余力のある中国市場への期待からCNPCに接近する企業や産油国も多いです。
世界的に石油産業の人材不足が懸念されるなか、大量の技術陣を擁するCNPCのマンパワーは、今後大きな強みとなるとも言われています。
最近では、ShellとCNPCは豪CBM企業の買収や中国の非在来型天然ガス資源の共同開発など“天然ガスを中心とした戦略的パートナーシップ”を着々と構築しています。
CNPCは国内のみならず国外においてもオペレーターとして数多くの操業経験を有していますが、 資源国との交渉や国内非在来型天然ガス資源の開発についてはメジャーズのブランド力(統合開発 能力、産油国との交渉力)を利用し、事業規模拡大を図ろうとしているように見えます。
メジャーズと中国 CNPC の 新たなパートナーシップより
CNPCの今後の戦略
中国では、エネルギー消費量の拡大や石炭から天然ガスへの転換に伴い、近年LNGの輸入量が急速に拡大しています。
よって、
中国企業のLNG調達や液化基地への投資に関わる動きが加速
しています。
(日本の LNG 産業の将来展望に関する考察 ~LNG 輸入開始から 50 周年を迎えて~ )より
「資金投入を強化し、原油の安定的な増産や天然ガスの素早い増産を実現する。」
というペトロチャイナの王宜林菫事長の言葉にも、今後はLNGに力を入れていくことが示されています。
ペトロチャイナの今年の投資額は、前年比17.4%増の3,006億元を見込んでいます。
このうち、8割近くを原油や天然ガスの油田開発に投じる予定です。
同社は原油価格の低迷で、2012年12月期をピークに投資を削減させてきました。
しかし、2016年12月期をそこに再び拡大し、今期は6期ぶりに3,000億元を回復しています。
国内では、内陸部に天然ガスの探査や開発を強化。
海外では、2018年にUAEアブダビの油田権益獲得、カナダのLNGプロジェクトの参画を決め、ロシア北極圏の真LNGプロジェクト参画も検討しています。
また、アメリカの制裁を受けるイランでも、南パルス天然ガス田の権益買収を検討しています。
ペトロチャイナの株価
ペトロチャイナは「香港証券取引所とニューヨーク証券取引所」に上場しています。
中国株とアメリカ株を取り扱う証券会社であれば取引ができると思います。

まとめ:中国のエネルギー会社の今後が気になる
ということで、今日は「CNPCの企業分析」を行なってきました。
フォーチューングローバル500社のトップ10の4社を企業分析してきましたが、すでに3社が「エネルギー」企業と考えると、エネルギー企業の権益はすごいな〜と思いますね。
エネルギーを持っていない日本が弱い理由もわかる気がします。
それでは今日はこれで^^