こんにちは。
元野村證券女性営業マンのフリーファイナンシャルアドバイザーNatsumiです。
この記事では「企業分析」をしていきます。
「Alipay」と「We chat pay」ってアプリが2強らしいんだけど
どんなことをやってスマホ決済を広めたんだろう?
違いや戦略について詳しく教えて!
今や、日本でも「Alipay」という言葉を見るようになりました。
この「Alipay」を提供している会社はアリババ集団傘下の「アント・グループ」(2020年6月よりアント・ファイナンシャルから改称)という会社です。
今日は、
中国・アントグループ
の企業分析をし、
- アント・グループの事業内容
- アント・グループの強み
- アント・グループの今後の戦略
を明らかにしていきたいと思います。
アント・グループの株式は2020年11月5日に上海・香港証券市場に上場の予定でしたが、上場を中止しています。
今後上場することが再度発表されれば証券口座を開設すると売買ができます!
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アント・グループってどんな会社?
Alipayなどの金融サービスを提供している
会社です。
アント・グループというと「???」という人もいるかもしれませんが、アリババ集団の金融関連会社です。
みなさんもお店に行ったら一度は見たことがあるかもしれない「Alipay」を展開している会社です。
世界最大の小売・電子商取引企業であるアリババが2004年に開始した決済処理サービスであるAlipayから始まり、現在、モバイル決済、普通預金口座、投資、融資、信用スコアなどの包括的な金融サービスを提供しています。
中国のスマホ決済市場について
中国モバイル決済の利用者数・取引規模は年々成長し続けています。
中国のモバイル決済ユーザー数は2019年に7億人を超え7億3,300万人に達し、2020年には7億9,000万人に達すると予想されています。
AlipayやWeChat Payなどの各モバイル決算サービスの使用シーン拡大に伴い、取引回数および全体の取引規模は高速で成長している状態です。
オンラインeコマースではAlipayが支配的で、オンラインの支払いをAlipayに設定するユーザーは64.9%に達しました。
現在、AlipayとWeChatの決済ツールが中国のモバイル決済市場を支配しており、2つの取引の合計市場規模は90%を超えています。
アリババ系決済ツールのAlipayは48.3%のシェアを持ち、テンセント系のWeChat PayとQQ銭包を合わせた44.9%のシェアより少し優位に立っています。

ネットユーザーに対する調査によると、オンライン(ネットショッピングなど)ではアリペイを使用したいという割合が全体の60.8%を占める。一方、オフライン(飲食店内や駅構内など現場での支払い)では、65.6% のユーザーがWeChat Payを使用する意向を示した。
大手ECサイト・タオバオを持つアリババ系のアリペイがオンラインを得意のフィールドとし、国民的SNSアプリ・WeChat内に設計されたWeChat Payが日常生活と密接な関係を保ち、食事や交通など幅広い日常シーンでの利用が多いのは自然な結果である。
また、少額の消費ではWeChat Payを利用する場合が多く、アリペイは比較的大きな金額を扱う際に用いられる傾向にある。さらに、一般には1・2線都市(中心地)ではアリペイが人気で、3・4線都市(地方)ではWeChat Payのほうが人気があるとの調査結果も出ている。
アント・グループの強み
アント・グループはアリペイがメインのサービスではありますが、それだけではありません。
サービスラインアップとしては、
- アリペイ(支付宝)・・・決済
- ユエバオ(余额宝)・・・流動性の高い預金的な金融商品
- マイバンク(網商銀行)・・・ローン提供サービス
- 芝麻信用(ジーマ信用)・・・信用スコアリングサービス
- アントクレジットペイ(花呗)・・・クレジット機能
- 保険・・・保険商品の販売
などがあります。
アント・グループが提供するAlipayやアリババから得られるビッグデータを活用し、様々なフィンテックサービスを提供しています。
決済データは全てのフィンテックサービスの基本となるビッグデータです。
決済を把握すれば、ユーザーの習慣、嗜好、行動、生活様式、趣味、金銭的な思考、移動、公共料金関係、税金、資金的なトラブルなど、ほぼ全てを把握できてしまいます。
キャッシュレス社会が進み、アリペイのように決済手段としての独占率が高まれば、データとしての正確さも担保されデータ価値も向上します。

アント・グループの歴史の中で重要な製品は、ユーザーがAlipayの残額を投資することができる機能である余額宝です。
2013年に開始された余額宝は、Alipayからより大きなアントフィナンシャルへのシフト=単なるオンライン決済から一連の金融商品への変化を起こしました。
ユーザーは余額宝を利用して、年間約2%のリターン(最高は7%)で中国の貨幣市場に低リスクの投資を行う天紅基金の株式を購入することができます。
余額宝で得た収益は、即座に送金したり、オンラインでの購入に利用したりすることができ、現在、世界最大のマネーマーケットファンドとなっています。
芝麻信用(セサミクレジット)は、ビッグデータに基づいてクレジットスコアを付与するために利用されています。
2015年1月、セサミクレジットは中国人全体を対象としたクレジットスコア(セサミスコア)の発行を開始し、特定のクレジットスコアを持つ顧客に対して、より良い条件を提供するために企業と連携しています。
アント・グループの今後の戦略
アントフィナンシャルが公表した海外戦略目標によれば、10年後には現在2億人いる海外のAlipayユーザーを10億人増加させ12億人に拡大し、中国国内アリペイユーザー8億人と合わせて合計20億人にするとしています。
glotechtrendsでは、アント・グループの海外戦略が三段階に分けて説明されています。
- 中国人観光客向けに限定し、海外で中国アリペイサービスを活用できるようにする段階。日本は今この段階であり、ローソンやビッグカメラなどが中国人観光客をターゲットにアリペイ決済を採用している。
- アリババが運営する海外版Eコマースサイト「AliExpress」を通じて、オンラインショッピングの決済ツールとしてアリペイを活用する段階。
- 各国のローカルパートナーとアライアンスを締結し、アントフィナンシャルが中国で成功したフィンテックサービスを模倣し現地で展開する段階。
第一歩目として、Alipayを観光地で使い、その状況を現地の人が見る状況を作ります。
そのようにすることで、中国人向けに「Alipayが使用できます」という看板を出せば、自動的にその国の人の目にも触れます。
また、中国人がスマホを取り出して快適に決済している姿を見れば、あれば何だろうと関心を抱きます。
アジアの至る所でAlipayの看板の露出度は極めて高くなるということです。
第二歩目として、現在Eコマース最大手のアリババが海外戦略を加速させています。
グローバルEコマースプラットホームである「AliExpress」を活用して、Eコマースの普及と同時にAlipay決済を海外に輸出してしまう作戦です。
世界で1億人以上の「AliExpress」ユーザーが何らかの自国の決済ツールとAlipayを連携させて活用しています。
何らかの形でAlipayを使ってもらうのが二歩目です。
第三歩目は、ローカルの強力なパートナーと提携を行います。
例えばインドではPayTm, タイではAscend Group、マレーシアではCIMBバンク、韓国ではKakao Pay、フィリピンでは最大コングロマリット企業であるアヤラなど、どこもアントフィナンシャルの相手にふさわしい強力なパートナーを選定しています。
提携先のパートナーと協力して、アントフィナンシャルが保有するフィンテックサービスをローカライズしながら、ローカルパートナーが前面に出て、アントフィナンシャルはテクノロジー支援や経験によるアドバイザー的な後方支援に徹する形で、サービス展開して行きます。
「アリペイ決済だけでなくアントフィナンシャルが得意とするフィンテック分野をあますところなく伝えることとなる」ということです。
このようにして、全フィンテック分野の世界進出を狙っています。
アント・グループの株価について
アント・グループは2020年10月末、上海と香港の証券取引所への上場に向けた準備をしており、新規株式公開に向けて株式の公募価格を公表しました。
が・・・中国当局が同社の共同創設者で億万長者のジャック・マー氏と2人の経営幹部を呼び出して面談した翌日の11月3日、上海、香港の両証券取引所ともに停止されました。
上場発表の際に証券取引所を通じて公表された資料によりますと、株式の公募価格が上海市場が1株68.8人民元で、香港市場が1株80香港ドルに決まったため調達する資金は日本円で3兆6,000億円に上り過去最大となる見通しとなり、これは2019年、サウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」が国内で上場した際の294億ドルを上回り、過去最大になるということでかなり注目された2020年最大のIPOでしたが停止されたということで、今後再度の上場検討などがされればまた注目したいところです。
まとめ:ビッグデータは今後のビジネスの宝
ということで、今日は「アント・グループ」の企業分析をしてきました。
アマゾンもウィーチャットもフェイスブックもグーグルも事業拡大の鍵は「ビッグデータ」ですね。
それでは今日はこれで^^
